第3話 慟哭 22 ―セイギは戦場に降り立つ―


 22



 デカギライのせいで町は混乱状態に陥っていた。愛がSNSやニュースから得た情報に寄ると、町に突然現れたデカギライはパトカーを襲撃し、その後無差別攻撃を始めたという。



 そして、デカギライの前方にはデカギライが破壊したであろう車が炎上していた。


「グワァァッ!!」


 ガキセイギの攻撃をくらったデカギライは悶絶の声を上げながら弾き飛ばされ、自らが破壊した車に激突した。


「うわぁぁぁぁ!! クッソ!! ……熱いッ!! 熱いッ!!」


「うるせぇ……熱くないんだろ? そんなのは知ってんだよ」


 道路に降り立ったセイギは、大剣を構え直しデカギライに向かって行く。


「クソぉ……酷い事しやがってボズ!!」


 セイギの背中から離れたボッズーは辺りを見回した。


 デカギライは車の進行方向に反して立っていた、その場所の周りには、前にも後ろにも炎上した車が多数見える。デカギライがぶつかった車の向こうには、持ち主が乗り捨てて逃げたのか、無人の車があり、その動かなくなった車の先には、また無人の車が。そこから先は渋滞の様に車がたまっている。車が動かないから『車を捨ててでも逃げよう』と考えたのだろう、そんな車達の周りを見ると、おそらく車の持ち主だった人々の逃げ惑う姿が……


 いや、逃げる人達の姿は道路の中だけじゃない。道路の中にも外にも逃げ惑う人々の姿があった。皆が皆、恐怖に怯え、嘆き、叫んでいる……


「ボッズー……」


 その人達の姿を見たガキセイギの心は燃え上がる。真っ赤に輝く《正義の心》が燃え上がる。


「……今度こそ止めを刺すぞ!! 今度は絶対ぇ油断しねぇ! だから、ボッズーも"昨日言ってた"の頼むぜ!!」


「うんッ!! 勿論ボッズー!!」

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