第3話 慟哭 14 ―勇気の決意―

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 現実から逃げる事は簡単だ。現実を見なければ良いのだ。ただそれだけで、嘘の世界で生きられる……


 だが、勇気はそれをしなかった。現実を見る事、己の心の中を見詰め直す事、『それが贖罪の始まりになる……』そう勇気は信じたから。

 だが、見詰めれば見詰める程に、自分の中に眠っていた恐怖が、色濃く、深いものだと勇気は知ってしまった。


「こんな奴が……『世界を救う』とのたまっていたのか……罪だな、罪深い……」


 勇気は真空色の空を見上げた。もう涙は出ていない。一夜をさ迷い歩きながら、枯れる程の涙を勇気は流したから。


「良く晴れてやがる……、別れを告げる日の空にしては晴れ過ぎだ」


 勇気の気持ちは、もう既に固まっていた。一夜の内に、自分がすべき事が何なのか、その答えを勇気は見付けていた。


 だから……勇気は決意を込めて、腕時計の文字盤を叩いた。


「正義……聞こえるか、今すぐ会いたい」

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