第38話

携帯が鳴った。隼人だ。


「なに」


「兄貴が店来いって。なんとか今からこれねーか?」


「えー今からかよ」


くそ。帰らないと。


「なに?帰るのー?」


「すみません、会社から」


「俺も行きたい!」


え?雷さん靴履くし。いいのか?

勝手についてきた。


「キャバクラってどんな楽しいとこなのかなー?雪乃ちゃんのことキャバクラの人ってみんな言うけど、キャバクラって雪乃ちゃんみたいな子がいるの?」


「それはないです。雪乃より口悪い人ばっかりです」


「えー?なにそれー」


しまった。雪乃を評価してしまったじゃねーか。



「おい、雪見。もっと急いで来いよ」


入り口で隼人が待っていた。


「こんばんわー、なんか思ってたよりぼろい!」


「誰だよそいつ」


「姉の旦那」


「は?…ヤンキーじゃないのか?この人?」


「違うから」


中に入ると兄貴がいた。


「あれ?掃除の人だ!」


「あぁ?お前、悟流のダチじゃん?」


兄貴の知り合いだったようだ。


「…雪見の知り合いか?」


「姉の旦那です」


「は?姉?お前の探してた?」


「はい、絶縁してましたけど…会えました。姉の旦那とは仲良くなりました」


「いや、なんでこいつまで来たんだ?」


「キャバクラ行ってみたい!って言ったからだよ?」


「あーそう。それならあっち行って飲め。隼人案内しろ。金は俺が」


「うす」

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