第29話

「雪見さん…は、霊がより見えるってこと?」


「…そうかも」


「思い浮かべてますよ?いつも」


「足りないんじゃないですか?」


「はい、終わり〜。仕事」


ジャスミンさんが割り込んできた。


「悠人さんならできます!」


園に入る時も、しきりにそれを言う。

雪見さんは変わり者のようだ。

瞑想も練習したけど、なにが変わったというわけでもない。彼女を思い浮かべて何になる?


「あの親戚なんの用?寂しがり?」


「さぁ…」


「じゃ、目撃してそうな経路はどこか確認するよ」


今回、動物園の人は知らない人だ。前の人は異動されたのかな。今日の防犯カメラ映像を見つつ、経路を確認。


「え。これ雪見さん…」


動物園を歩いてる。しかも、俺が今通った場所しか歩いてない…


夢を見るというのは、聞いてたけど。だから、わざわざこんなとこまで?そもそも行き先なんて誰にも言ってない。

鳥肌が立つ。


「知り合いなにしてんのこれ」


「わかりません…元の画像に戻してください。…あ」


まだ雪見さんが入り口で待ってる。


「天野、トラから」


「…はい」


本当にトラ。それは…経路を確認しないとわからないことなのに。

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