跡継ぎになってみた

第25話

「雪見さん、私隠し事苦手だから言うね。さっきの市川くんのこと好きだったんだ」

「へー？じゃあ付き合えば？」

「ひどい。なんでそんなこと言うの」

「なんて言えばいいの？」

「…雪見さんは私のこと好きじゃないの？ほかの人のとこに行ってもいいの？」

「は？」

「ひどい！」

「いや、友達だから付き合うんじゃ？」

「違うのに！違うもん！私は友達なの？」

［雪見さんにとって、女なんて一緒なんだ］

「いや違うって言ったよ」

［私のこと全然好きじゃ…

わ。キスされた］

「俺思ったんだけど、キスするのって好きじゃないとできないよ。隼人とは無理だし？」

「え？」

「結婚してるのになんで怒る？」

［そうじゃなくて！］

「俺は隼人と付き合ってるけど？」

［えー！全然意味違うー！間違えてるよ！］

「そう？」

「そうだよ！違うったら違うの！」

「なんだ、喧嘩してんの」

［あ、隼人さんだ。今噂してたあの］

「俺ら付き合ってるって言ったら違うってうるせーんだよ」

「はー！？きもいこと言うな！」

「あー、お前もきもいとか言うわけか」

「気持ち悪ぃーやめろ！付き合うの意味間違えるなよ」

「間違えてる？」

「お前、泣かせてんじゃん！バカ」

「あ、気にしないでください。ちょっと体調崩れやすくて、すみません大騒ぎして」

「おい、雪見。かわいそうだろ」

「いや？妊娠の影響らしいよ」

「…あ！？え？…なに、お前…」

「はは。隼人やっぱ彼女とやってないんじゃん」

「はぁ！？う、うぜー！仕事行くぞ」

「散歩、ここまでになる」

［怒ってごめんね］

［いや？］

［歩いて帰れるよ］

［あーそう］

「いや、お前どうした？」

隼人に肩を揺すられた。

「帰るってさ」

「いや無言かよ。怒ってるって」

みるくはさっさと帰った。

「謝ったよ」

「はー？いつ？」

「さっき」

「お前勘違いばっかじゃねーかよー」

そっか、あれはしゃべってないんだ。