第24話

「そうだ。デートしようよ」


部屋でだらだらしてたら閃いた。まだ仕事まで時間ある。


「え、デート?」


「運動したほうがいいんだって言われたんだろ?その辺歩こう」


「うん、お散歩ってことだよね?」


「そう」


なぜか着物を着はじめる。おでかけ着らしい。みるくと歩くの久しぶり。


「俺、隼人と同じ年だからさ。あいつに合う女いたらいいと思ってるんだけど、いない?」


「そんな簡単には…」


「だよな?なのに、住職は予言した。なんで?すげぇよなー」


「予言?」


「みるくを寺に。…いや、俺がお願いしたけど…ん?よくわからないぞ」


「手を、繋いでもいい?」


「あーいいけど」



雪見さんとてくてく歩いてると、見知った人を発見した。ジョギング中の、市川いちかわくんだ!


「久しぶり!市川くん」


「こんにちは…?」


よそよそしい。あ…雪見さんいるから?

いや、この間試合見に行けなかったから?

市川くんは、公園コース以外も走っててすごい体力。


「誰こいつ」


「陸上部の友達だよ」


「へー。どうも天野です」


「はじめまして…ところで?どなた?」


「え?私、山本やまもとです」


「え!?山本さん?着物?」


「…はい」


そうか、今日はお出かけだから着物着たんだった。


「うわー、全然違って見えた!じゃあこの人が旦那さん?」


「うん」


おー、イケメンだ。しかもしっかりしてそう。山本さんが惚れ込むなんて、すごい人に違いない。


「そ、そんな…恥ずかしい」


「え?」


しまったー声を聞いてしまった。


「なんでもない」


きりっとしてるのにおちゃめなとこもあって、山本さんってかわいいよなぁ。はー、俺なんか眼中になかったのかな?


嘘…私のこと考えるてくれてたなんて。嬉しい。


「じゃあ!」


市川くんは、颯爽と消えた。名残惜しい。


「あの人、見たことあるかも」


「え!?」


え、私話してたっけ?考えた?いや?


「わかった。陸上部の練習ですれ違った」


それだけ?



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