第17話

翌日の昼間、おにぎりを自分の部屋で寝転がりつつ食べる。


「…悠星さんに電話しないとな」


「食べ終わってからでもいいんじゃない?」


「たぶん、もう着いてるし」


タイミングを見て電話したら怒られなさそう?肩肘ついて、おにぎり持ったまま電話してみた。


「いつでも電話するなよ」


やっぱ文句言うし。


「悠星さん、俺結婚しました」


「なんの話?」


「俺ですよ」


「嘘つくな」


「本当です。妊娠しました」


「はぁ?まじか?キャバクラの子?」


「いや、それが。公園で助けてって言ってた子なんです」


「なに?生きてる人の声だと?」


「はい。寺に住みたいって言ったから結婚しました」


「いや、全然わかんねーけど。親父に持ってかれないよーに」


「はい。それと、帰る前に悠星さんの嫁の儀式をしましたよね?」


「あぁ」


「あれからどうですか?」


「うん、不安はなくなってる」


「あれ、俺がやりました」


「は?」


「悠星さんは気付くかと思いましたけど」


「…そういや、お前倒れてて起きなかったな。瞑想してんのかと思ってた 」


「言葉はいいことも悪いことも、どちらの性質もあって」


「わかってる!なんだよ、お前なんでもできるじゃん。それなら姉も見つけられるって」


「あ、見つけました」


「…くそ。雪見…お前もう俺以上だよ」


「ありがとうございます」


「はぁー、頼もしい息子だ。俺の代わりに寺を頼むよ」


「代わり?ではないですよね?もともと悠星さんは継ぐ気なかったですよね?」


「うわ、なんでわかるんだか。親父に似てきた。うんざりする」


「では、また連絡します」


「いや、しなくていいよ」


そう言って勝手に帰ってきたくせに。

まぁ、いいや。おにぎり食うか。


「儀式ってなに?」


みるくはまた覗き込んできた。


「何したの?」


「それは教えられないなー」

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