第16話

「おい、雪見。そろそろ起きろ」


「あ?悠星さん?」


寝転がってたようだ。覚えてない。


「また瞑想してたんだろ」


「え、いや…」


「もう帰るから」


「え、早いですね」


「お前さ、たくましくなったよな」


「え、本当ですか?」


「まだ一人前じゃないけど?じゃ」


あっさり帰る人たちだ。

起こしてくれないし。ふてくされる。


「雪見。よくやった」


しばらくして、住職がやってきた。ようやく起こしてもらった。座るのがやっとだ。


「ありがとうございます…目眩がします」


「みるくさんが来てくれたぞ?」


そういや、誰かいると思ったけど…

住職がどくと、みるくがしゃがんで座った。


「え、巫女服?」


「雪見さん。大丈夫?」


顔を覗き込んできた。


「え、なに?」


「ただいま」


[な、な、なんで今キスなんて!?住職いるのに!]


「あ…」


「雪見は戻れないと思ったんだな。よかったな、好きな女にまた会えて」


「はい」


[ちょっと!なんで抱きつくの!恥ずかしいよ!]


「あー、悠星さん子供作ってました。俺と一緒だ」


[な、なんで抱きついたまま話すのー!恥ずかしいー!もー!]


「はは、その話は電話で報告しときなさい。それから、今日の件も」


「はい」

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