悠星

第11話

悠星ゆうせいさんが突然帰ってきた。嫁と息子を連れて。家族いたとか、そんなの聞いてない。しかも俺と同じくらいの息子だし…。なんでも秘密がいいと思ってるのだろうか?住職にも言ってないみたいだし。

息子さんは日本語がしゃべれたけど、住職ってなに?と聞かれた。うーん…


「この寺で、偉い人のこと?」


「なるほど。おじいさまはすごいですね。では、失礼します」


住職はおじいさま?…なんだその言い方は。悠星さんがそう呼べと?あと、息子さんの日本語は丁寧だ。悠星さんは、乱暴なのに。

気にしないで、公園に筋トレに行く。


しかし、帰ってきたら住職に捕まる。


「雪見、孫の悠人ゆうとと話してやってくれ」


「…はい。でも仕事は?」


「もちろん休みなさい」


…やっぱりー。あっちが勝手に来たのに。


「あれ?仕事行かないの?」


みるくが部屋にいた。珍しい。


「なにしてんの」


「ちょっと具合悪くて」


「寝てていいよ。ご飯持ってくる」


ふー、息子さんにいろいろ説明するのかな?できるか?そんなこと考えつつ厨房へ。


「雪見くん、今日は行かないのかい?」


珍しく、今の時間帯にいる。普段は仕事行く時間だ。


「はい。孫と話せと」


「あぁ…悠星さんの」


「妻が体調悪いので、部屋に持っていきます」


「あ、そう…はいこれ」


「ありがとうございます」


みるくのこと言うかどうしようか。悠星さんをちらっと見かけたけど、部屋に篭ってるようだ。まぁ後でいっか。


「ご飯置いとく。片付け後でするよ」


「ありがとう。で、仕事は?」


「悠星さんの子供と話せって」


「誰?」


「住職の息子」


「え、いたの?」


「いるよ。じゃ、食べられるのだけでも食べてよ」


「うん」

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