第12話

「こんばんは。お話ししたくて待ってました」


悠星さんの部屋には孫だけしかいない。


「悠星さんは?」


「母の具合が悪いので付き添ってます」


「そうですか」


食事が運ばれてきたけど、こんな和食食べられるのか?箸使えるのか?


「あの、あなたの名前教えてください」


天野雪見あまのゆきみです」


「ゆきみさん…俺は悠人ゆうとです。父と同じFBIで働いています」


「なんですかそれ?」


「え?捜査機関なんですが」


「知らないです」


「…え、あれ?話してないんですか?」


「はい」


「では、忘れてください」


「はい」


普通に箸使って飯食ってるし。うまいもんだな。


「おじいさまから聞きましたが、雪見さんは霊が見えて、夢も見るとか」


「ええはい」


「実は、俺は動物と話せるんです」


「そうですか」


「でも。触らないとできなくて。なにか集中できる方法ありますか?」


「…瞑想?」


「めいそう、とは?」


「頭を空にするんです。やったことないですか?」


「パパが昔教えてくれたかも…」


パパ…?あぁ、悠星さん?柄じゃない。


「それやったらいいです」


「パパは雪見さんの指導もしましたか?」


「少し?」


「厳しかったですか?」


「いや、別に」


諦めてたような?


「やっぱり息子だから厳しくなるんでしょうか?」


「さぁ」


俺が食べるのをじっと見ているその目は、金色だ。瞳孔が猫みたいに細い。珍しい目をしてる。

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