第5話

「…紗絵さえちゃんは、嬉しくないかも」


「どうして?」


「俺が、まともじゃないから。雪乃ちゃんのことも、好きじゃないし。どうせ、子供の面倒見れないって言われちゃうよ。俺、仕事もできないんだもん」


「雷さん。お姉さんの言いなりにならなくていいんですよ?」


「でも、俺は紗絵ちゃんがいないと迷惑かける」


「迷惑かけてなにが悪いんですか?雷さんは、好きなようにしてください。姉も好きなようにしてますよ?勝手なやつですから」


「好きなように、できるのかな」


「俺は、雷さんの弟になるんですが、面倒見てくれますか?刑務所に入って迷惑な人間ですが」


「迷惑じゃないよ」


「だったら、雷さんはもっと迷惑じゃないです。自由にして欲しいです」


「どうやるかわかんない」


「一緒に考えましょう?もっと、たくさん…あなたはなんでもできますよ。俺だってなにもできなかったけど、寺の仕事してますから」


「そうなの?」


「約束します。あなたを守ります」


どうか、雷さんが子供を作れますように。

自分みたいな人間が、迷惑だなんて思わないで。


俺の兄なんだ。


家族に見捨てられて、姉もそうなのに、それなのに大事に思ってくれてる。


「どうか…幸せになって下さい」

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