第3話 ツナベーコンピザクレープ

 ここの角をもうちょっと丸くして、柔らかめよりしっかりしてる方がいいからとにかくグサグサしておいて。

「痛っ」

「何しよん」


 最近の私は専ら羊毛フェルトにハマってる。小学生か中学生くらいの時に一度興味が湧いて始めたものの、仕様がわかずすぐに辞めた。そんな私がまたなんでハマってるのかというと、ストレス発散のためだったりする。無心でグサグサするのがこれまた楽しい。

 ちなみに私は徳島県出身なので、冒頭の「何しよん」っていうのはそれなりの方言だったりする。何かと色んなランキングでワースト入りをする徳島県だけど、この間見た『方言が怖い都道府県ランキング』では意外にも嬉しいワースト1位入りを果たしていた。他にもマッチングアプリで知り合った男性からも「徳島県の方言は可愛い」って言ってもらえたり・・・

 誰かから自分に関わるものを褒めてもらえる事って嬉しいですね(笑)

 ここ数日は羊毛フェルトのおかげでストレスもなく心が豊かな私。今週は無事に先日書き終えた履歴書を武器に面接に行く。色んな人が「受けな」と言われて受けるものの、実際はあまり乗り気ではない。

 ただ今回のエッセイは明るい内容にしたいので、面接の話はまた後日。

 もう一つ、私にとっては明るい話がある。推しのイベント当選! 2023年の運勢は推しに全振りしていると言っても過言ではないほどに当たりまくっている。

 自分自身が幸せになればなるほど、周りにも優しくなれる。人間の心理だと思うが、どんな理由でも幸せを与えられる人間、幸せを受けて優しくなれる人間。その両方が存在しているこの時代は素敵だと思う。

 例えば整形なんかは、否定する人が一定数いて、それを仕事にしている人、それを受けたいと希望する人がいる。そんな中で、色んな理由で整形した人たちが幸せになっているのだ。

 要するに、この世には魔法使いとシンデレラがいっぱいいる。『幸せ』っていう魔法をかけて『幸せ』を手に入れるシンデレラ。そういう風に気が付いたのはつい最近だったりするが。

 受け入れる心、寛大になる心を感じると自分自身の事でありながらも幸せになる。

 そんな考えを誰かに伝えるのは気恥ずかしくてここでしか言えないのだ。


 スーパーの一角にあるクレープ屋さんで、ツナベーコンピザクレープを買って車で頬張る。2階駐車場には鳩が巣を作っているようで、どこかしらで鳩がホーホーと喉を鳴らす。なかなか春を迎えない車の中で、私がクレーンゲームで取った毛布を母が自分の膝にそれをかけた。

「絶対に汚さんといてよ」

「もうちょっとで食べ終わるけんいけるよー」

 心が広い人間にはまだまだなれそうにないなと思いながら、氷しか残っていないカップのストローを吸う。ズズーと音を立てたカップの底を覗きながら『早く夏が来ればいいのに』と思うのだ。

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