エトによるエンド考察タイム10
雨音は、未だ激しく続いている。
部屋の外で振り続ける雨風が響く中、一人の少女が図書室の中央に座っていた。
彼女は息苦しそうに僅かに胸を抑えていたが、やがて何かに気付いたように顔を上げる。
そうして少女は何処かへと手を振りながら語り掛けるように、声を上げた。
「こんちは、エトだよ。
今回は何故こんな終わりになってしまったのかというと――簡単だよね。
それは――憂が約束を忘れてしまったから。
正確に言えば、憂は守深架とずっと一緒にいるって約束を、言葉を忘れた訳じゃないけどね。
実際、憂はずっと守深架の事を想って、寄り添っていた。
あの状況ではずっと一緒にはいられないだろうから、せめて心だけはそうあろうとした。
それはとてもとても正しい事で、憂の行動はきっと間違ってはいなかったんだと思うよ。
だけど……時として、心の距離だけじゃどうしようもならない時だってある。
ヒトは――きっと、ヒト自身が思うよりずっと寂しがりやだからね。
心だけで触れられても心癒されない時がある。
時に、手と手で触れ合い、繋ぎ合う事で全てが満たされる時もある。
心が必要な時。身体が必要な時。両方が必要な時――それぞれの形を、その時その時の思いのままに必要とする……。
それが我が儘に思える時もあるだろうけど――きっと必要な時に必要なものを埋め合わせる事って大切なんだよ。
互いのささやかな我が儘に付き合って向き合って埋め合っていく……互いを想い合うって、そういう事じゃないかな――そう、私は思うよ。
――と、話が逸れちゃったかな?
ともかく、今回に限っては憂は約束の本質じゃなくて、言葉そのものをちゃんと守るべきだったって事かな。
大切な何かの本質を見失うのはいけない事だけど、言葉って明確な形にした以上、その形も蔑ろにし過ぎないように気を付けないとね。
その辺りのバランスはヒトによって違うから難しいだろうけどね――。
さて、今回はこんな所かな。
次回からは憂と守深架の裏側の出来事の結末になるから、どうか見守ってあげてね。
かわいいかわいいエトちゃんでした」
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