幕間 エトによる雨辿結虹の読み方について

     エトによる雨辿結虹の読み方について

 雨音がずっと止む事がなく響き続ける図書室――そこに座る一人の少女が、何処へともなく手を振って語り出した。


「こんちわ。

 私は――うーん、まだここについて語るのは少し早いかな。

 まぁ、そんなわけなので暫くはまだ、ただのエトという事で。


 さておき、切那の表側の出来事を見届け終えた後かな、今の皆は。


 ん? ああ、いきなりここに辿り着く人もいるのかもね。


 じゃあ、ちょうどキリがいいし、ちょっとこの雨辿結虹って出来事の簡単な解説とその読み方について、私から話しておこうかな。


 雨辿結虹は、

 基本的な主観となる伏世ふくせゆうって男子学園生と、

 三人の女の子――境乃さかいの切那きりなこと切那せつな鈴歌すずか迂月うつき羽代はねしろ守深架すみかのそれぞれの関わり合いによって色を変える幾つもの出来事で構成されている、ある梅雨の日々についてを貴方達に見せているモノ。

 

 で、三人の女の子の出来事は、彼女達に訪れる様々な事柄や憂との関わり合いによって、大きく表と裏に分けられるの。

 

 それで、今は切那の表側の出来事を見せ終えて、今から裏側について見せようかなって所。


 で、私からの読み方のすすめ、というか――うーん、そうだね、何と言えばいいか。


 まずは序章だけ見届けてもらって、彼らが基本的にはどんな人物なのかを知ってもらうのが基本かな、うん。

 ああ、でも、そういう所は知らなくていいって人もいるのかな?

 そこを覗かなくても概ねは大丈夫なように後で調整しておこうか。


 あー、ごめんごめん、こっちの話。

 えーと、どこまで話したっけ――そうそう、出来れば序章を見届けてほしいってとこまでか。

 で、序章を見届け終わった後だけど、そこから先はそれぞれの出来事、どこから読んでもらっても大丈夫だから。



 つまり、序章→切那表→切那裏→他の出来事、という読み方でなくてもよくて、

     序章→切那裏→他の出来事→切那表、みたいな読み方でも大丈夫だって事。



 それぞれの出来事は、その部分以外は独立してるから、それぞれの出来事を知らなくても、各自の出来事を見届ける分には支障がないからね、うん。


 ただ、支障はないけれど――各自の出来事で明らかになった真実を踏まえてそれぞれの言動を観察すると興味深い部分が出て来たりするんじゃないかな。

 

 順番によっては、共通する真実……所謂ネタバレを先に見てしまう事もあるかもしれないけど――その点はご容赦を。

 そこはなんというか、雨辿結虹は『真実を追いかける』事が主目的ではないからね、うん。


 憂達が困難に遭遇する中、何を思い、何を選ぶのか――

 まぁそんな大層な事はないかもだけど、貴方達とそう変わりがない彼らの進む道を見届けてくれたら嬉しいな。  


 そしてその先にある――――ああ、うん、これはまた、いつか改めて話そうか。

 とと、話が長くなっちゃったねー ごめんごめん。


 要は、途中から雨辿結虹を見届けようって人達は、序章を除けば、それぞれの出来事の順番は気にせず読んでくれたらいいって話。

 だから、気軽に憂達の出来事に入り込んで……見届けてくれたらいいな。


 と、今はこんなところかな。

 と言っても現時点での見届ける順番の選択肢は限られてるんだけど――まぁこの辺りは少しずつ増えていくんで今は勘弁ね。


 じゃあ、これからも憂達をどうかよろしくね。

 また近々、憂が迎える不本意な終わりについて解説する事になると思うから、その時に会いましょう。


 かわいいかわいいエトちゃんでした」

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