エトによる大分岐のお知らせ

 雨が降り続ける音が響く、薄暗い図書室。

 その中央の椅子に座る少女は、何かに気付いた様子で顔を上げて、言った。


「こんちわ。

 ようこそいらっしゃいませ、私こと、エトの世界に。

 さて、今回ここに来てもらったのはね、今から――というか次の出来事から、伝えようと思ってる内容が大きく分岐する事になってて、そのお知らせの為かな。


 実際の、本当の大きな分岐はもうちょっと先なんだけど――細やかな部分での違いを考えるとここがいいかなって思ってね。 

 

 で、その分岐がなぜ起こるのかについては……多分みんなも薄々気付いているかもだけど、憂とある三人の少女との関わり合い、そこに起因する出来事や選択の違いによるものなの。



 境乃さかいの切那きりな


 鈴歌すずか迂月うつき


 羽代はねしろ守深架すみか



 この三人との関係性が、憂のこれからを大きく揺るがす事になるんだよね。


 そしてそれは単純に『三つの出来事』という訳じゃないの。

 

 人には多かれ少なかれ二面性がある。

 それは彼女達にも当然存在している。

 それによってこの出来事の色は、大きく変化する事になるのよね。


 彼女達が憂に見せる『二つの顔』をみんなはどう感じるのか――すごく気になるね、うん。


 じゃあ、まず最初は――うん、切那の光が当たった部分から伝えていく事にしようか。


 こっちでは憂はそんなに死なないと思うから、私と会える機会は少ないかもね。

 でも、そう寂しそうな顔をしなくてもいいよ?

 いずれ、否が応でもたくさんに顔を合わせる事になるんだから。


 じゃあ、そろそろ一時お別れ。

 また会える時を楽しみにしてるね~


 かわいいかわいいエトちゃんでした」

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