エトによるエンド考察タイム1
そこは、屋内。
少し古ぼけた電気スタンドが照らす、薄暗い図書室。
外からは激しい雨音が聞こえてくる。
そんな部屋の中央にある古びた椅子に一人の少女が座っていた。
蒼と碧の交じり合った不思議な色をした長髪の少女は、こちらに気付くと手を上げて語り出した。
「こんちはー。
私の名前はエト。愛称みたいなもので、本名は今は内緒ね。
でも実はみんなとははじめまして――ってわけでもないんだよね。
憂に守深架のバレーボールが当たった時、死神云々言ってたでしょ?
あれが私……いやまぁみんなと出会った訳じゃないと言えばそうなんだけど、細かい事は気にしないで。
それはさておき。
みんな、いきなりあんな終わりを見せられて戸惑ってるんじゃない?
あれはまぁ、ああいう可能性もあるよっていう、結末の一つ。
ここは、可能性の数々が織りなす、彼・
何故そんな事をしているのかについては――まぁおいおい、いつか話す機会があればね。
ともかく、ここでは私が憂が迎える結末について語ってるとだけ分かってくれてたらいいから。
で今回の結末なんだけど――ぶっちゃけ、これ、本当は滅茶苦茶に可能性が低い結末なんだよね。
百回やっても一回こうなるかどうかってレベル。
なんでかっていうと、この結末は極めて憂が憂らしくない選択をしてしまったから。
というかまぁ、ぶっちゃけるとここで解説する終わりの大半が、憂が憂らしくない事をしてしまったせいで迎える終わりなんだよね。
じゃあ、なんでらしくない選択肢を選んだり、らしくないことやっちゃったりするのかっていうと――まぁ色々条件の絡み合いはあるんだけど、基本は憂の試行錯誤によるもの。
今回はその辺りを語りつつ、私の自己紹介をする為に、あえてこの終わりを見せてみた次第だったり。
その辺りもいつか詳しく説明出来たらいいなぁと思ってるけど、そこまでみんなが付き合ってくれたら嬉しいな。
さておき、みんな的にはあの終わりはあまりにも唐突過ぎる、理不尽だと思うかもだけど……この出来事の全体像が見えたらそう理不尽なものじゃないと思えるんじゃないかな。
その分岐点となった場所では、ただ憂が一歩踏み込まなかっただけだけど、それによってそこから繋がる縁が潰れた結果、色々なものが繋がらなくなったのがあの結末だったりするんだな、これが。
で、肝心の憂の判断だけど――まぁ間違っているわけじゃないよね。
君子危うきに近寄らず。危ないものに近付かないのは、人らしい判断だと思うよ。
でも、伏世憂らしかったか、彼にとって後悔しない選択だったか、というと否になるわけで。
なんでもかんでも踏み込むのが正しいわけじゃないけど、一歩足を踏み入れる事で変わる事もある。
勿論リスクもあるから難しい所なんだけどね。
実際、いくつかの場合踏み込んだ結果憂が悲惨な結末を迎える事も――ゴホン、それはまたいつかの機会に話そうか。
じゃあ、今回はこれにて。
次回からは、本来の選択をした続きになるので、そちらはどうなっていくのか見守ってくれると嬉しいな。
ああ、そうだ。
憂をはじめ、この出来事に登場する皆はどうにも不器用な所があるから、ヤキモキしたりする事もたくさんあるだろうけど、どうかあたたかく眺めてやってね。
果てに待つものは、そんなに大層なものじゃないけれど――それでも貴方達にとって何かの糧になる事を願っているから。
もちろん、ただ楽しんでくれるだけでも意味はあると思うよ。
私にとっても、憂にとってもね。
それじゃあまたね。
かわいいかわいいエトちゃんでした」
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