第20話 最終決戦
side:towa
俺はひたすらに研究所内を走っていた。皆の位置は把握しているが、相手の狙いは皆を殺すことと俺の能力を奪うこと。そしてあの狂った研究者の中では俺の能力を奪うことの方が優先度が高い。なら今は合流するべきではないだろう。だから一定距離を保ってあいつらについていく。高頻度で研究所の人間と遭遇するが、先手必勝で気絶させるだけだ。あっちも班を分けてうまくやっているようだ。
あいつらが危なくなったら俺が出ていけば良い。このまま出口まで行けると良いんだが…
***
side:rei
玲達の班では玲が永遠の存在に気づいていた。
「後ろから永遠君ついてきてるね。ボク達の事を考えて一定距離保ってくれてる。」
「玲、わかるの?」
「うん。でもタピオカもできると思うよ。」
「そっか。」
出口までの道のりはまだ長い。何かが起きそうだと玲は感じていたが、敢えて何も言わなかった。言えば皆が不安になるからだ。だが気づいていたのは玲だけではない。斗亜、永遠、高音、クチナシ。それぞれの思いを抱えながら皆黙っていた。
***
一定距離を保って追いかけ続けているが、特に何も起きない。周囲から人の気配もしなくなった。きっと最後の最後で迎え撃つつもりなんだろう。それにしても…この研究所、標的の脱走も考慮して作られてるな。道が入り組んでいて走りにくい。
今の班は…年齢と実力でなんとなく分けている感じか。即席にしてはしっかりしている。俺の予感が外れて皆無事に脱出できればそれが一番良…
「脱走した愚かで醜いクソガキ共。聞こえているかな?」
「糞研究者…」
どうやら俺の予感は当たってしまったようだ。
【斗亜、クチナシ、高音、玲。全員班員連れて俺のところにこい。】
それだけ伝えて放送に耳を傾ける。
「君たちのようなクソガキに切れるほど私は愚かではない。だから君たちにチャンスをあげよう。今、入口付近にはここの研究所にいるほぼ全ての戦闘員がいる。そこを抜けられれば私はもう干渉しない。だが…彼らは殺すつもりでかかってくるからね。頑張り給え。私も入口付近で待っているよ。少しくらいは時間をあげよう。今いる場所で会議でもしてろ。」
放送を聞きながら駆け寄ってくるカオス組メンバー。作戦を立てよう。
「今の放送は聞いてたな?とにかく、こんな研究所にいるような戦闘員だ。生半可な実力では無いだろう。斗亜達は道中で何人も戦闘不能にしてくれていたが、恐らくそいつら以上の実力だ。だから、俺と斗亜、玲で叩く。クチナシと高音は俺らのサポート、そしてこいつらに能力の使い方のレクチャーを頼む。少しでも使えば感覚つかめるから。」
「そっちに人が行ったらどうするんだ?」
「そのためのクチナシと高音だ。生きるか死ぬかだ。はっきり言うが、殺せ。そうでもしないと生きては帰れない。殺したくない気持ちはわかる。だからできる限りは俺が殺る。」
皆の気持ちは痛いほどわかる。でも無事に帰るためにはそれくらいの覚悟が必要なんだ。
「ごめんな。…でも、やらなきゃいけないんだ。」
「わかってるよ。覚悟なんてとっくにしてる。」
……。やっぱりこいつらは大物になるな。人を殺せと言われているのに目には強い決意が宿っている。殺人鬼に育たないように責任持ってやろう。
「じゃあ…行くぞ!」
そして研究所VSカオス組の命懸けの戦闘が始まった。
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