十七話【最終儀式!】

泣きそうな顔で惣一郎を見るベンゾウ達。


ツナマヨも刀を抜いたままだった。


よっぽど見た目が酷いのだろう……


だが今は、それどころではない!


急ぎ御神体から力を抜かなくては……


すると風が吹き、精霊シルフがシャボン玉を引き連れ現れる。


「ありゃ目がなくなっちゃったの? 誰かの目と入れ替えようか? 仲間をくれたお礼だよ!」


「シルフ殿! そんな事が可能なのか!」


スワロがシルフに詰め寄る!


「私の目を!」っとスワロが前に出る。


「ベンゾウの!」っとベンゾウが惣一郎に抱き付く。


「アタイの目を!」っと弁慶が覚悟を決める。


「俺のを!」っとギネアが続くと、誰もが俺のを私のをと名乗りを上げる。


みんなの優しさに、暖かい気持ちに包まれる惣一郎。


「みんなありがとう! だが、本当にサーチの魔法もあるし問題ないんだ! 心配かけて済まない」


頭を下げ礼を言う惣一郎。


サーチのおかげで見えてる様に振る舞う事で、みんなを安心させる。


「それよりも今は、御神体の力を削ぐ事を急がなくては! 次元も閉じ始めてる。みんなを無事に送り届けるんだ!」


自分の事より優先すべき事がある!


惣一郎を心配そうに見つめるみんなを急がせ、ドラミにも準備を急がせる。







惣一郎がミネアに作らせた広場の陣の真ん中に御神体を置く。


脚が6本布から突き出している。


この惣一郎が作らせた陣は以前、ビルゲンとゼリオスが共同で創り出した魔法を増幅させる陣であった。


その陣を囲み、五箇所に立つ精霊達。


ウンディーネ、イフリート、シルフ、イワオ、そしてドラミ。


等間隔で広がる精霊達が詠唱を始めると、増幅陣を上書きする様に五芒星が作られ、新たな陣が浮かび上がる。


惣一郎にもサーチで良く見えている。


陣が強く光り出すと、ドラミが叫ぶ!


「構えろや! そろそろ出るで!」


「えっ、何が?」


「アホか! 何がって抜き出した蟲やないか! 順番に出すから、倒して行くんやボケ!」


戦闘だったのか!!!!


慌てる惣一郎が、村のみんなを避難させ、ベンゾウ達と並んで構える!


「先に言えよ! こんな村の真ん中で蟲と戦闘なんて、聞いてないぞ!」


だが、今更辞められない……


「一匹目や!」


御神体から生まれる大きなカマキリ!


茶色い硬そうな体に鋭い顎を動かし、両手の鎌を広げ、こちらを威嚇する!


「しょうがねぇ、付き合ってやるぜ旦那!」


ミコ!


黒い獣に獣化するミコが、鉈を両手にガオとカマキリに突っ込んでいく!


アイツはいつも猪突猛進だったな。


目を失いサーチで見るおかげで、ミコの動きが良く分かる!


「ミコ! 両足で回転速度を上げようとするな! 軸を置いて、鉈の重さで回るんだ!」


惣一郎の声に回転が増すミコ!


ベンゾウの故郷で初めて会った時も、姉弟子のベンゾウに何度も突っかかって行ったミコ。


付き合わされるガオも大変だろう……


だがあの深く考えない性格が、いつも周りを明るくし、不安を掻き消してくれた……


異世界まで助けに来るのにも、きっと大して悩まなかったろう…… ありがとうな、ミコ!


「次や! 次が出るで!」








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