十一話【間者】
陣の中心に立つ惣一郎。
その惣一郎をみんなが囲む。
惣一郎の前にはユグポンの種が5つ並び、足元には御神体が横たわる。
深く息を吐く惣一郎が御神体に幻腕を添え魔法陣が光出すと、みんなの表情が変わる!
重力が増す様に体が重くなり、魔力が抜けていく喪失感に耐える村人。
想像以上の負荷に膝を曲げる者もいたが、中心の惣一郎の顔に誰も声を上げる者はいなかった。
幼い子供達でさえ、しっかり皆と手を握り、惣一郎から目を離さなかった。
陣の外では武器を手に、出番を待つ戦士達が焦り出す。
ツナマヨ達も例外なく、惣一郎と繋がり増えた魔力が抜けるのを感じていた。
魔女の纏わりつく様な感情が惣一郎に流れ込む。
すでに惣一郎は戦っていた。
憎悪、怨み、嫉妬、怒り、様々な魔女の感情が惣一郎を襲う。
自分が魔女本人の様な錯覚を覚える惣一郎を、ベンゾウの温かい魔力が正気に戻す!
「いた! よん……いや5箇所!」
苦悶表情の惣一郎が声を上げる!
目の前の種が一つ消えると、遅れて広場の隅に扉が現れる。
「ミコ! ガオ! 出た目の前の白い服の女だ」
惣一郎の声にミコ達がクロとピノを連れ、武器を手に現れた扉へ飛び込む!
「ゴゴ、ジジ! 大きな蟲だ、ハクの毒を上手く使え!」
2つ目の扉に、ゴゴ達騎士団が飛び込む!
ギネアも槍を手に付いて行く!
そして3つ目の扉が現れる!
「スワロ! ツナマヨと行け! 目の前の4人組の鎧の男だ!」
スワロが杖を握り頷き、ツナマヨの後を追う様に扉に飛び込む!
4つ目の扉が現れる!
「ベンゾウ! 弁慶! このふたりのダークエルフがキシルとネネルだ! 倒せ! 目を潰すんだ!」
森の中、旅人に紛れ野営中のふたり。
場所は惣一郎達がいるゴーマユから近かった。
転移屋を使わず旅人に紛れ、どうしてここが分かったのか直ぐ近くまで来ていた!
その答えは惣一郎の視線の先にあった。
陣の光りが消え、目の前の最後の種を広いポケットに仕舞う惣一郎。
解放された村人達が、大きく息を吐き座り込む中、惣一郎が無数の槍を浮かべ歩き出す。
「いつからだ? どうやってベンゾウの鼻を誤魔化した!」
5つ目はユグポンの中にいた。
惣一郎が何を言ってるのか理解できず、自分じゃないと後ろを振り返るミネア。
「お前に言ってるんだよ」
「なっ、何の話ですか! 惣一郎様……」
演技には見えなかったが、魔女と繋がった今の惣一郎には、はっきりと分かる。
驚く表情のミネア。
「今直ぐミネアから出るんだ」
惣一郎の怒りが周りにも伝わる。
只事じゃないと慌てて離れる村人達。
セシルが杖を構え、惣一郎の背後につく。
孤立するミネア。
姉妹のセリーナ達が心配そうに震える。
「「 やめて惣一郎様! お姉ちゃんをいじめないで! 」」
幼いエルデとハイデがミネアの前に入り、手を広げ惣一郎を止める!
心が痛い惣一郎。
「惣一郎様、一体何の……」
ミネアが話す途中、瞬間移動で攫い距離をとる惣一郎!
「ドラミ!」
叫ぶ惣一郎の声に反応するドラミが、離れた惣一郎とミネアを囲む様に地面から生えた木の根が檻を形成し始める!
「「 お姉ちゃん! 」」
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