七話【上陸】

簡易的に補強された町の外壁を、新たに強化するドラミ。


地面から生えた太い若々しい緑色の根が巻き付き、茶色い木へと姿を変える。


一部ではあるが、広範囲の外壁を作るドラミに、ツナマヨが感心する。


「やるではないか! ドラミ殿」


「感心しとる場合ちゃうで! もう直ぐ見えてくる頃や!」


蔓で補強された外壁を勢い良く登るミコが、上から声を上げる。


「見えて来たぞ!」


ガオが拳を合わせ音を立てる。


やる気の無いクロとピノが、セシルに説得されやれやれと言った感じで歩き出す。


その後を追う惣一郎と弁慶とベンゾウ。


大きな蟲の姿が迫る中、またみんなと戦える事が嬉しいベンゾウ。


弁慶の自信に満ちた顔。


惣一郎にも不安はなかった。


だが、そんな惣一郎を呼び止めるミネア。


「惣一郎様! ギネアさん達が大陸に入ったと今、村に戻って来ました!」


「えっ、もう?」


足を止める惣一郎。


振り返った惣一郎に、弁慶が後ろから声をかける。


「旦那様、こっちはアタイらに任せろ!」


ポーチから侃護斧を取り出し、肩に乗せる弁慶。


ゴゴ達騎士も武器を持ち現れる。


「ベンゾウ、旦那様を頼むぞ」


優しく微笑む弁慶が、私も行くと戻ろうとするピノを片手で捕まえる。


「分かった…… 弁慶、頼んだぞ! 必ず連れ戻す」


そう言い残し、ミネアとユグポンへと戻って行く惣一郎とベンゾウ。


離れたツナマヨ達も戻る惣一郎の姿に、


「良い所を見せられなくて残念だ!」


っと前を向く。


蟲の足音が地響きの様に近付いて来る……






村に戻るとギネアがひとり、惣一郎を待っていた。


「惣一郎様、大陸に入り翼族の住む集落近くに来ているのだが、斥候に出た者から危険を知らせる信号が送られて来て直ぐに信号が途絶えたと、トトリ殿が!」


「待ち伏せされたのか!」


「分からん、先に指示を仰ごうと…… すでに大陸の中ですし慎重にならねばと」


「分かった。俺が先に見てこよう」


ギネアが来た扉を潜り、あっさり大陸へと上陸する惣一郎。


ツリーハウスを出ると、トトリとブラギノールが不安な顔で出迎える。


木の上に待機する鳥人達も……


「惣一郎さん!」


「ブラギノールさん、大陸まで随分と早かったな、助かるよ!」


「いえ、彼らのおかげでして…… それより」


「ああ、聞いた。その集落はどのぐらい先なんだ?」


するとトトリが指を刺し、


「向こうに飛んで一刻の距離だ」


「分かった。みんな村で待機しててくれ! ココから先は俺が種を持って進む」


木の上の鳥人達は、よく見ると震えている様だった。


「仲間のニトリが最後に恐怖を伝えて来たのだ。皆怯えてしまって…… 気をつけるのだぞ」


「ああ、分かった」


ギネアの案内でみんながユグポンへと入っていくと、惣一郎は種を拾い上げポケットに仕舞う。


「ベンゾウ、ココからは何があるか分からない。十分注意して進むぞ!」


コクンっと頷くベンゾウが、惣一郎の肩に手を置くと瞬間移動で消えるふたり。


サーチを全開に、赤い岩が転がる森の木の上を、点々と進む……






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