二十話【初期メンバー】

「セリーナ、急で済まないがギネアと連絡を取ってくれ、一度キューテッド達に戻って貰いたいんだ」


「は、はい! 旦那様」


コールで連絡を取るセリーナ。


「旦那様、目当ての奴隷を数人、急ぎ買い取るので、一刻程時間を貰えないかと言ってます」


「わかった。では夕方に呼び戻すと伝えてくれ」


「はい!」


惣一郎はその後、ババの持っていたツリーハウスの回収や、今後に備えての準備を始める。





そして夕方。


セリーナを連れユグポンを出ると、セリーナの首から魔法陣が地面に描かれていく。


陣から現れるギネアとキューテッド達3人。


すると今度は直ぐに、ギネアの首から魔法陣が現れ、5人の見窄らしい格好の人達が現れる。


獣人の女性が2人、人族の女の子がひとり、それと大きな岩の様な肌の大男と、それを小さくした様な岩の子供がひとり、森の中で驚き固まっていた。


「惣一郎様、緊急事態か?」


「まぁ、そんな所だ。中で話そう!」


数日ぶりではあるが、久しぶりと言う感じでは無かった。




夕食で賑わう中庭の食堂で、惣一郎はギネア達に経緯を話す。


「上位種だって! 待て待て、この女が上位種を倒せるって言うのか!」


「ああ、前にいた世界から呼んだ俺の仲間だ」


「嫁のベンゾウです」


「なっ! ベンゾウ殿!」


「ややこしくなるから辞めなさい! それで、キューテッドに奴隷契約を結んで欲しいんだ」


「この方とですか? わざわざ契約を結ぶ必要なさそうですが……」


惣一郎に後ろから抱き付くベンゾウ。


「ちょっと特別でな、ベンゾウの力を上げる為に必要なんだ」


「わ、分かりました……」


不思議そうな顔で答えるキューテッド。


以前は奴隷契約で勇者の力を押さえ込まれていたが、解放された今、惣一郎の魔力をスワロの様に使えるのであればプラスでしか無いはず。


「いいんだな? ベンゾウ」


「うん! またご主人様の奴隷だね!」


奴隷になる事を喜ぶベンゾウ。


キューテッドが地面に魔法陣を作り出す……




「何コレ……」


「どうした?」


「ご主人様を感じる…… スワロも……」


上手くいったかな?


すると惣一郎とスワロにも、異変が起こる!


「主人!」


「ああ、魂で繋がった様だな……」


契約で結ばれた3人。


今まで一方通行だった力が、循環するのを感じていた。


「キューテッド、連れて来た5人は契約を解除してミネアの指示に従ってくれ。ギネアも少し休んでてくれ」


「おいおい、上位種と戦う為に呼んだんじゃないのか!」


「俺ら3人で十分だ」


「ベンゾウだけでも行けるよ!」


「ジビカガイライ復活だな、主人よ!」


契約を結び、自信に満ちた3人。


惣一郎はさっきまでの不安が嘘の様に、なんとかなると思えていた。


ベンゾウは当たり前の様に食事を始め、スワロは「圧縮…… 空気……」っと呪文の様に考え込み始める。




惣一郎はゴゴ達を集め、3人で行く旨を話す。


上位種の相手はまだ早い。


「飯食ったら行ってくるよ」


「飯って…… そんな買物でも行くみたいに」


「旦那が死んだら俺らも死ぬんだぜ!」


「そういえばそうだな。じゃ契約解除するか」


「いや、そう言う話じゃ無くてだな……」


「タイガよ、主人が死ぬ事は無いぞ」


「ベンゾウもいるしね!」


「ははは、まぁ、心配すんな!」


笑いながら食事に手を伸ばす惣一郎。


タイガ達は顔を見合わせ、力になれない事に悔しさを覚える。




陽が落ち、闇が森を包む夜。


惣一郎は一緒に出たベンゾウとスワロを置き去りに転移を繰り返し、目的の崖に到着する。


すると左右に現れた陣から、ふたりが現れる。


「すご! 本当に離れられないんだ」


「ああ、着いたぞ」


「上の洞窟が入口か? 主人よ」


「サーチで見た限り、他に出口はなさそうだな」


「寝てるの?」


「奥の広い空間で固まってるみたいだ」


「主人よ、毒を使うなら試してみたいんだが」


「何を?」


「ハクのスキルだ。なんだか出来そうな気がするんだ」


出来そうって……







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