十七話【イメチェン!】
「主人よ、あのまま街に行っても問題無かったのでは?」
「ドラミが目立ち過ぎるし騒がれるのはやっぱりな〜 もう勇者の噂が広まっているとは思わなかったよ」
ツリーハウスの中で予定を立て直すと言い出す惣一郎。
二階のキッチンでは、ミネアとテルミナが料理を作っていた。
「おかえりなさいませ、何かあったのですか?」
惣一郎は事情を説明しながらお茶を出す。
「思ったんだがドラミ。髪の毛の色染めてみないか?」
「髪の色? なんや色変えれるんか?」
「主人よ、そこまで必要か? トリグルだけユグポンの中にいればよい話ではないか」
「まぁそれもそうなんだがな…… ドラミ本人が変われるんじゃないかなって思ったんだ」
「ええ〜! 綺麗な髪色なのに勿体無くないですか?」
「ウチはかめへんで! 確かに街の外にもウチの事を知ってる奴もおるやろし、目立つ髪色で覚えてるのがほとんどやろ」
「見た目ラミエルだが、ドリーと一つになってラミエルでもなくなったんだ、新たなスタート切るなら、見た目も少し変えた方がドラミも動きやすいだろ」
「まぁ、雰囲気が大分変わっても見た目はラミエルさんのままですからね〜」
惣一郎はネットでヘアカラーを検索し始める。
「何色が良いかな〜」
「そんなに色々選べるのですか?」
「ウチも、スワロみたいな黒髪がええんやが」
「えっ、色々あるんだぞ?」
「綺麗な黒髪に憧れとったんや!」
「わかってるじゃないか! ドラミ殿」
自慢げに髪を手で払い広げるスワロ。
「まぁ確かに、スワロさんの髪は艶もあって綺麗ですよね〜」
それは惣一郎のシャンプーやトリートメントの効果なのだろう……
「じゃまぁ黒にしてみるか? 気に入らなければまた変えれば良いだけだしな」
惣一郎はドラミを風呂に連れていき、購入したヘアカラーを髪に塗り始める。
「くっさ! ちょ惣一郎、鼻が曲がるわ!」
「我慢しろ! よしコレで少し放置だ」
手を洗い、ドラミを置いて風呂を出る惣一郎。
リビングでは全員が鼻をつまんでいた。
「私もちょっと変えてみたかったですが、やめておきます……」
あっ、そう……
タイマーが鳴り、そのまま風呂で頭を洗う様に言う惣一郎だったが、ドラミは風呂に入るのが初めてであった為、スワロにお願いする。
しばらくすると裸で飛び出して来るドラミ!
「どや、ええ感じやろ!」
水滴が滴る白い肌に濡れた黒髪。
顔を赤くしながら惣一郎はクリーンをかけて乾かすと、ローブをかける。
「アホ、服を着て来い!」
追いかけて来た裸のスワロも黙って風呂に戻って行く……
夕食をみんなで囲みながら惣一郎は、
「やっぱトリグルへは俺ひとり、こっそり入って転移屋へ直行するよ。買い物は傭兵団がいるクリゴウでしよう」
っと言い出す。
「なんや、せっかく染めたのに行かれへんのか」
またテルミナとマチリナに、黒髪を結ってもらったドラミが、余り残念そうじゃ無い言い方で答える。
本当は行きたくない癖に……
「まぁゴゴ達と行き合って、騒がれたくないしな〜」
「まぁ、主人がそう言うなら従うが……」
「私達も、街に行ってみたかったですが、奴隷商に捕まりたくもないですしね」
「そう言う事だ。治安も良く無いって言ってただろ」
っと言う事で翌朝、惣一郎ひとり街に行く事にし、その日はドラミの杖を作る事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます