第18話 俺は心優さんのショーツとブラジャーを観察する。


「あ、そうだ。蒼太君」

 

 ラピュタパンを食べ終わり、なんとなくテレビを付けたところで心優さんに声を掛けられた。彼女は今、廊下で着替えをしている。当然、廊下へのドアは閉まっていてお姉さんの着替えている姿を見ることはできない。


 今、いきなり開けたらどんな状況だろうか。

 丁度ダサいパジャマを脱いで下着姿になっているところだろうか。


 心優さんの下着姿――。

 ふと頭に浮かぶのは、布面積の極端に少ないブラジャーにショーツ。アダルトな動画でよく見るやつだ。


 なぜそんな想像をしてしまうのだろうか。

 への答えは、心優さんの豊満でエッチなボディゆえだろう。

 

 未だに鮮明に脳裏に焼き付いている、バスタオル一枚だけを巻き付けた心優さんの姿。あれは凄かった。もしもバスタオルがない状態で見たら、ベタなアニメの如く勢いよく鼻血でも噴き出たかもしれない。


 そんな魅惑の肢体の大事な部分を、必要最低限の布だけで隠した心優さん。


 ツーっとなんか鼻から垂れてくる。

 鼻水かと思ったら鼻血だった。


 うっそっ!?


「蒼太君、聞いてる? そこにいるんだよね?」


「あ、は、はいっ、いますいます。どうかしましたか?」


 俺はティッシュで鼻血を拭きながら答える。


「私、今から自宅に戻って車を取ってくるのだけど、その前に洗濯をしておこうかと思って。それで洗濯機ってどこにあるのかなぁって」


「洗濯機でしたらベランダです。使いますか?」


「うん。一昨日と昨日の下着とか靴下とか洗っておきたいから」


 ――下着。


 そこでドアが開き、心優さんが居間に入ってくる。

 今日の恰好はチェック柄のフレアスカートにブラウンのシャツ。フェミニン系カジュアルと言った感じで、これまた心優さんにはぴったりの装いだ。


 三度見た私服は完璧。なのにパジャマはなぜアレなのだ?

 いや、もう疑問に思うのはよそう。アレを着たまま外出しなければそれでいい。


「どう? 似合ってるかな」


 その場でクルンと回る心優さん。フレアスカートが傘みたいに膨らんだ。


「はい、すごい似合ってます。もちろん昨日も一昨日の恰好も」


「ありがとう。そうやって褒めてもらえるとオシャレした甲斐があるなって思える。あ、洗濯機借りるね。蒼太君も洗うよね」


「はい。でも心優さんが先でいいですよ」


「え? 一緒に洗えばよくない? 汚れがひどいものとかはじめて洗う色柄ものとかないよね? だったらそんな効率悪いことする必要ないと思うけど」


 当然のような物言いの心優さん。

 俺の下着と一緒に洗うことへの抵抗が全くないらしい。だったら、先に譲ろうとした理由を述べる必要もないだろう。


「あ……そ、それもそうですね。だったら一緒に洗っちゃいましょう」


「うん。それがいいよ」


「はい。ただ、洗濯機なんですけど古くてガタがきてるんで、動かすのにちょっとコツが必要なんですよね。なので洗うものを槽に入れて置いてくれれば、あとはやっておきますよ」


「えー、そんなの悪いよ」


「今度コツを教えますから、今日は俺がやっておきます」


「うー、では、お洗濯よろしくお願いします」


 九十度のきれいなお辞儀の心優さん。

 

 居候という立場を自ら堅持しているからか、本当に申し訳なさそうにしている。だが、実際、洗濯機は動かすのにコツが必要であり、心優さんに任せたところで、すぐに俺の出番になっていただろう。


「はい、任せてください」


「じゃあ、私は車を取ってくるね。自宅の場所はナビアプリに入っているから大丈夫だと思う」


「歩いてどれくらいかかりそうなんですか?」


「ナビアプリの計算だと三十二分って出たよ。でも私、歩くの遅いからもっと掛かるかも」


「そうですか。俺はその間、洗濯機回して干しておきますね」


「うん。ありがとう。もしもナビアプリがあるのに迷って自宅に着けなかったら、そのときは拷問にかけて殺してもいいから」


 それほどの罪の意識があるのは分かりましたっ!


 こうして心優さんは車を取りに部屋を出た。

 残された俺は、自分の下着やその他の洗うものを槽に放り込み、洗濯機を作動させる。


 俺のパンツと心優さんのショーツが今頃、槽の中で絡み合っているのだろうか。

 お互いの生地と生地がこすれ合って汚れを落としっこしているのだろうか。


「何を考えているんだ、俺は」


 俺は自分のスケベ脳にあきれ返りつつ、脱水が終わるのを待つ。

 そして五〇分後、その脱水が終わり洗濯機の蓋を開ける俺は、その状態でピタと動きを止めた。


 俺はさっき、心優さんになんと言った?

 

 そうだ。洗濯機を回して干しておくと言ったんだ。それに対して心優さんはありがとうと返してきた。


 それてつまり俺が、ってことだよな。


 俺はごくりと唾を飲み込むと、まずは心優さんの赤いレースのショーツを手に取る。

 

 前見頃と呼ばれる個所とクロッチ部は花のような模様があり、遊び心があるデザイン。且つ、ストラップ仕様のショーツ脇がなんともセクシーだ。


 総じて、お姉さんに相応しい大人のショーツであり、パジャマのようなダサさ皆無で安心する俺だった。


 布面積は少ないほうだが、特段エロを強調したものではないようだ。


 俺は次に、そのショーツとセットとなるブラジャーを取り出す。

 

 カップがでかい!!

 というのが率直な感想だった。それもそのはず、心優さんのカップは推定でGであり、この大きさでないと収まらないからだ。


 俺は一応、縫い付けられているタグを見てみる。

 そこにはこう書いてあった。


 

 サイズ

 アンダーバスト 70

 バスト     98

―――――――――――

    H70


 

 俺の推定より一個上のカップだったか。

 どこからが爆乳のカテゴリーかは知らないが、Hは明らかにそのカテゴリーに入ると思われた。


 そうか。心優さんはHカップか……。

 そうか、そうか……。


 でかいなぁ、おっぱい。

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