第81話 余計なお世話
「大変な事をしてくれましたね」
「……」
与人が三つ巴のバトルに巻き込まれている頃、屋敷から少し離れた場所にてストラはこの事件の大元と対峙していた。
何も話そうとしない黒幕に対してストラは独り言の如く、一人で語り続ける。
「恐らく仕込んだのは夕食の時。その時に殆どの面々に媚薬を仕込むチャンスがあったのは、日替わりの食事当番の面々。つまりはユニ殿、リント殿、カナデ殿、そしてアナタの四人に絞られます」
「……」
「その中で、まだ納得いく理由が考えられるのはアナタのみです。……スカスカの理論ではありますが、反論する気はありますか? ラン殿」
「……特にないかな? そもそもあんまり悪い事してるつもりは無いから」
そう言いながらランはストラと向き合いながらいつものように笑いながら話始める、
「でもよく理由思いついたね。てっきり最後までバレないと思ってたけど」
「個々の考えを理解して動かすのも役目ですので。ラン殿が現状に不満を持っているのは見ていて分かりました」
「流石だね。でも一応、答え合わせといこうか?」
ランは再び遠くからでも騒動が起きてる分かる屋敷を見ながら、心の内を語り始める。
「私は今のメンバーも、もちろんお兄ちゃんも大好き。だけど、今のまま関係をあやふやにしておくのは良く無いと思うだよね」
「……否定はしませんよ」
現在エクセードの上下関係は非常にあやふやである。
与人を頂点とした組織であるという事以外は、特に決められてないと言ってもいい。
無論ストラも改善しようと頭を巡らせているが、与人自身がこの事に関して決めたがらないため進まないのであった。
「だから媚薬の話を聞いた時に思ったんだよね。皆がお兄ちゃんの恋人になれば解決するんじゃないかって。……というより、最終的にはそういう目的なんでしょ? 遅いか早いかの問題だと思うけどな」
「分かってますか? そういうのを余計な世話、と言うんですよ。まだ覚悟も定まっていないのに事を急かす理由がありません」
「かもね。けどもうやっちゃったからね。流石にあの二人でも欲望丸出しの皆からお兄ちゃんを守るのは不可能でしょ」
「随分と作戦の成功に自信があるようですが、ラン殿に一つ今後の為に忠告しておきましょう」
ストラはモノクルを弄りながら、ランと同じく屋敷を見守る。
「敵の戦力を見誤ると、思わぬしっぺ返しに合いますよ。味方の戦力は過少に、敵の戦力は過大に。臆病なぐらいが丁度なのです」
あとがき
という事で幕間的なお話でした。
今回の騒動の黒幕も明かされ、あと数話でこの騒動のお話は終了します。
果たしてどのような幕引きとなるのか?
お楽しみに!
感想等は何時でも歓迎です。
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