第二十四話 水着の楽園に響く少女たちの嬌声?!

 かなめたちが会議を行った後の初めの日曜日、かなめたち司郎ハーレムのメンバーは、司郎を連れて天城市の中心部に立つ三浦第二ビル内の室内プールへとやってきていた。

 この室内プールには、水泳競技用のコースと、一般客用のプールの二種類があり、屋内にある温水プールとしては市内でも最大の規模を誇っている。

 当然、本来なら親子連れなどでにぎわっているであろうそのプールは、今日は司郎たち以外には客らしき人影は存在していなかった。


「本当にこんなプールを貸切りにしてよかったの?」


 かなめは、更衣室で水着に着替えつつ、藤香に心配そうな顔で聞いた。

 ――藤香は笑顔で答える。


「大丈夫ですわ……。もともとこのプールは改装直後で、一般客への解放は明日からになっておりますの」

「それならいいけど……」

 

 藤香の説明を聞いて、かなめは苦笑いしつつそう呟く。

 こんなに広い屋内プールを貸切状態というのは贅沢な話だ。さすがは藤香というべきなのだろうか。

 だが、そんな事よりも気になる事がある。それは――、


(司郎……、みんなの水着姿を見られるって言うのに……、それほどうれしそうでもなかったな……)


 かなめの知っている司郎は、もっとこう――欲望むき出しの男だったはずだが、今日はその片鱗すら見せていないように思う。

 まるで興味がないと言わんばかりなのだ。まあ、それも無理はないかもしれない。

 何せ、大好きな女の子との交流をほとんど断って、無茶な修行を毎日のようにこなしているのだ。

 司郎の精神はもしかしたら限界に来ているのかもしれない。

 そのことはかなめが直接宮守翁に話している。さすがの宮守翁も司郎の精神状態を察して、今日一日を司郎の精神的リフレッシュに費やすように言ってくれた。

 だから、今の司郎には純粋に楽しむ余裕があるはずなのだが――。


(う~ん、ここまで司郎が自分を追い込んでいるのは、初めて見たような気がする……)


 普段からエロばかりのスケベ男だった司郎だが、ここ一年はハーレムマスターの試練に気を取られ過ぎているのかもしれない。

 司郎をよく知る幼馴染であるかなめにとっては、やっぱりエッチでお気楽な司郎のほうが安心できる存在であった。


(司郎ってば、やっぱり疲れてるのかしら?)


 そんな事を考えているうちに、いつの間にか着替えを終えた女子たちが次々にプールの中に入って行く。すぐにかなめもその後を追った。

 ――そんな女の子たちを待つように、一人プールに佇む男の子がいた。


「司郎!!」


 かなめがそう言って男の子に向かって手を振る。――そう、そこに待っていたのは司郎であった。

 普段の司郎なら、その瞬間に満面の笑みを浮かべて、かなめたちの健康的すぎる水着に包まれた肢体を舐めるように見るだろうが――、今の司郎は少し違う態度をとった。


「おう……」


 右手を軽く上げてかなめたちを見る司郎の目にはいまいち精気がない。

 その光景を見たかなめたちは、司郎の精神がかなり消耗していることを感じざるおえなかった。

 

(司郎が……これにほとんど反応しないなんて……)


 さすがのかなめも司郎が心配になった。

 今、女の子たちはそれぞれが、好きな男の子である司郎に喜んでもらうべく、思い思いに選び抜いた水着を身に着けている。

 かなめは極めて健康的な、無地ではあるがアスリート少女らしい、機能性重視の紺色のビキニを身に着けている。

 日陰は、花柄のワンポイントの入った、白いワンピース水着を身に着けている。

 香澄もまたワンピース水着ではあるが、プールが貸し切りという事もあり、司郎以外の男子には見せることはないとふんで、結構きわどいハイレグ水着を着ている。

 藤香は、もうほとんど局部しか隠していないと思われる、布面積の小さい黒のビキニを身に着けている。

 空は――、彼女の場合、おそらくわざと着てきたのであろう、ネームプリントが胸についたスクール水着を着ている。

 多津美はこちらも学校指定のワンピースの競泳水着なのだが、身体の一部が規格外であるゆえにそこらのビキニとかより煽情的に見えている。

 ミリアムは――、何を思ってこんな水着を購入したのか。――白のマイクロビキニであった。

 アリスは、モデルの仕事でもらった、有名ブランドのビキニ水着を身に着けており、さすがモデルという立ち振る舞いである。

 ――そして、命は――、大きなリボンが特徴的な、黒いビキニ水着を身に着けていた。


 これだけの美少女がそろってなお司郎の目は暗く淀んでいる。

 いつもなら、ギラギラと目を輝かせてセクハラ行為すら開始するはずの司郎が、全く精気なく片手を振るばかりであった。


「司郎君……一体どれほど……キツイ修行をしてるの?」


 さすがに気になったのか、日陰がかなめにそう聞いた。


「うん……、私は直接は見せてもらえてないんだけど。お爺ちゃんの話では精神修養も含めた……、本来なら免許皆伝の者にのみその先へ進むことが許される修行らしくって……」

「それは……精神的にかなり疲労しているみたいですね司郎先輩」


 かなめの言葉に多津美が頷いて言う。


「ここまで精神を消耗する修行というのは……、続けても大丈夫なものなんですの?」


 藤香も司郎の事を心配そうに見つめながら言う。かなめは答える。


「司郎自身が望んでいるから……、止められないんだよね。それに……」


 司郎がここまで消耗しているのには、やはり女の子との交流が最近極端に減っていることが原因としてある。

 かなめたちといちゃついたり、セクハラしたり出来ていない現在は、恐ろしいスピードで精神が消耗しているのである。


「もうちょと……、休憩とかを挟んで修行すればいいんだけど……。司郎ってば基本的に、一つの事に集中すると周りが見えなくなるタイプだから……」

「……シロウってばまさしく単細胞だからね」


 空のあまりに辛辣な言葉に、その場の皆は苦笑いを浮かべた。


「……う~~ん。こうなったからには、やっぱりあのをするしかないか?」

「気付け?」


 かなめの言葉に皆が疑問符を飛ばす。

 かなめは皆まで言わずに、司郎のほうへと一人歩いていく。皆はそれを息をのんで見つめた。

 

「司郎……」

「ん?」


 かなめが司郎に話しかけると、司郎は生気のない目でかなめを見た。

 ――次の瞬間、


「はい……おっぱい」


 その時の光景を他の女の子たちは、驚愕の表情で見つめている。

 なんと、かなめは司郎の手を取って、自らの胸にその手のひらを押し当てたのである。


(気付けって!! それかよ!!!)


 さすがにその場の皆がツッコミを入れる。

 それは、あまりにあまりな行為――。さすが司郎のセクハラを幼いころより受けている、幼馴染のかなめだからこその気付け法であった。

 しかし、この時のかなめは気づいていない、重大な事実が存在した。

 今の司郎は、今までになく精神が消耗しており、それがかなめの強引な気付けを受けて、異常な方向へ精神を変異させる要因となった事である。

 ――そう、司郎はその時、女の子欠乏症だったのだ。

 そんな彼に、無理で強引なエッチを強要すれば――。


 プツン――。


「? 今何か音が……」


 司郎の手を自分の胸に当てたままのかなめが、何やら妙な音を聞いて首を傾げた。

 それが――それ以降の惨劇(?)の始まりを告げた。


「……」


 もみもみもみ――。


「?!」


 かなめは胸に妙な感覚を得て顔を引きつらせる。

 司郎の手が絶妙な感じに動いて――、かなめの胸のアンダーからトップにかけて、丹念に揉んでいるのである。


「ちょ……司郎?!」


 さすがにかなめは司郎から離れようとした。――しかし、


「か……な……め」


 司郎がそう呟いてかなめを見つめる。

 その手はかなめの胸に張り付いて離れる様子がない。


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ――。

  

「ちょ……、まって、あ……しろ……、離し……あん……、だめ……」


 司郎のその片手だけでなく、もう片手もかなめのへと延び、それを捉えてさらに揉み始める。


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ――。


 両手でかなめの胸を執拗に揉みまくる司郎。

 その手を胸から引きはがそうと、かなめは身をくねらせ抵抗するが――、

 司郎の手は離れることなく、執拗にそして激しく胸を揉みしだいていった。

 その執拗な愛撫に、かなめは次第に抵抗する気力を失っていき、その頬も赤く染まっていく――。

 ――そして、その場に膝から崩れおちて、ただ気持ちよさそうに喘ぐだけになってしまった。


「う……あん……は……」


 かなめはしばらくすると激しく身を痙攣させて――、そしてその場に突っ伏してピクリとも動かなくなった。


「司郎……くん?」


 その何とも言えない光景を、言葉もなく見つめていた日陰は、やっとそう言葉を喉から絞り出す。

 当の司郎は、やっとかなめの胸から手を放して、次の目標をその目でとらえた。

 

「ひ……か……げ」


 その言葉と共に、司郎は素早く日陰の背後に回り込む。

 そして、その胸へと手を伸ばして両腕で日陰を抱きしめた。


「司郎君?!」


 余りの事態に赤面する日陰だったが――。


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ――。


 司郎の手が、日陰のほどよい大きさの胸を、丹念に――そして優しく揉み始める。


「ひん……しろうくん……だめ……。おねがい……」


 それは、おとなしい少女――、男性にそのようなことをさせたことのないうぶな乙女にとって初めての強烈な愛撫であり――、すぐにその頬が赤く染まっていく。

 司郎の手が日陰の胸を這いまわり、そしてその先端すら刺激して、純情な乙女の胸を徹底的に弄んでいく。

 

「あ……あああ……あん……だ……め……」


 周囲の少女たちは、そのあまりに淫猥な光景を呆然と眺めるしかなかった。 


「これって……ちょっと」

「司郎君? ……どうしちゃって」


 女の子たちがそう困惑の声を上げている間に、日陰はもはや声も出せなくなってその場に崩れ落ちる。

 その表情は――、なんとも幸せそうだった――が。


「ふふふふふふ……」


 二人の犠牲者を見事に撃沈させた司郎は、両手をワキワキさせながら他の女の子の方を向く。

 その目は、それまでにないほどにランランと輝いていた。

 ――それを見て、異常事態にやっと気づく少女達。

 

 これはまさしく――、


「司郎先輩が……暴走状態になってる?」


 司郎の一番近くにいる多津美がそう呟く。

 しかし、その発言が司郎を呼び寄せるきっかけになってしまった。

 司郎が一瞬で多津美との間合いを詰めて、その手を多津美の大きな胸へと伸ばす。

  

「く?!」


 とっさに手わざでその手を打ち落とそうとした多津美であったが――。


「え?!」


 司郎が一瞬の後に、多津美の視界から消える。

 驚く多津美は、次の瞬間――、背後に立っていた司郎に、後ろから抱きしめられた。

 

「た……つ……み」


 不気味な声が司郎の口から発せられる。

 当然、その手は多津美の――、おそらく少女たちの中では一番大きなソレを――、下から持ち上げるように掴んでいた。


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ――。


 司郎の手が微妙な動きで、多津美の大きすぎる胸を揉み始める。

 谷間から先端へ――、先端から脇へ――、蠢きながら多津美のそれを揺らす。


「……せん……ぱい……まって……、ちょっと……」


 さすがの多津美も抵抗を試みるが――、

 その執拗かつ素人とは思えない愛撫に、次第に頬を高揚させ、喘ぎ声しか出さなくなっていく。

 そして――、

 

「ああ……あああ……だめ……ん!」


 その喘ぎと共に、多津美がその身を痙攣させる。

 そのままその場に突っ伏して動かなくなった。


(……うん。ちょっとまずい事態なんじゃないの?)


 眼前に繰り広げられた光景を見て、さすがに顔を引きつらせる少女達。

 当然、司郎から離れるように後退り始める――が、


「ふふふふふ……」


 司郎は不気味な笑顔を浮かべながら、そんな少女たちを舐めるように見つめる。

 それはまさしく、獲物を見つけたケダモノのごとき姿であった。

 

 ――それからは、まさしく大惨事であった。


<第四の犠牲者:岡崎香澄>


「ひ……あん……、だめだって……それ……」


 次の司郎の毒牙にかかったのは香澄である。

 その水着の脇の隙間から手を直接挿入された香澄は、そのまま直接その先端から何から徹底的にいじられる結果となった。

 エッチ関連に抵抗があって、なるべく避けている彼女にとって、それはあまりにも刺激が強すぎる行為であり――、

 初めての高揚感に満たされながら、その場にくてんと倒れ込んで動かなくなった。

 

<第五の犠牲者:小鳥遊空> 


「う……ちょっと……、まず……やめ」


 香澄が動かなくなった後に、犠牲者となったのは小鳥遊空である。

 とても小柄な彼女は、司郎に抱っこされて、そのまま全身を撫でられる結果となった。

 その手はあらゆる場所を這いまわり――、もはや空はただ気持ちよさそうに喘ぐほかなかった。


<第六の犠牲者:三浦藤香> 


「あ……んん……しろうくん……お願い」


 小鳥遊空が声もあげなくなって動かなくなった後、次の犠牲者として襲われたのは藤香であった。

 彼女はその身体を抱きしめられ、大きな胸だけでなく、その内太ももから執拗に撫でられ、執拗な愛撫を受けることになった。

 ぶっちゃけ――、彼女の場合、自分から望んで捕まりに行った感が強く、――その二人の絡みは少々、というかかなりイケナイことになった。 


<第七の犠牲者:ミリアム>

 

「う……はあ……ん……く」


 ミリアムは――、はっきり言って、少女たちの中でも最もアブナイ光景をプールに繰り広げることになった。

 司郎に組み伏せられた彼女は、その身に着けているマイクロビキニをずらされて、直接胸から何からいじくりまわされ、――まさに十八禁指定されそうなあられもない姿で悶えて、そのまま動かなくなった。


<第八の犠牲者:アリス>

 

「ちょお……まずいって……まって……あん」


 姫谷アリスはそこそこうまく逃げ回っていたが、それでも司郎の魔の手からは逃げ続けることが出来ず、そのまま組み伏せられその形の良い胸を執拗に揉みほぐされる結果となった。

 さらにはその尻や脇やら首筋やらを丹念に愛撫されて、心底気持ちよさそうな顔で突っ伏して動かなくなった。


 ――そして、最後。

 

「司郎? ……ちょっと待ってほしい。私は……」


 最後に残った命は、少女たちの死屍累々の状況を見て司郎に冷静になるよう懇願する。しかし――、


「ふふふふ……」


 完全に暴走して、ただのエロいケダモノとなった司郎に対しては、懇願など全く無意味な行為でしかなかった。

 ――司郎はただ笑って手をワキワキする。

 

「お願い……揉むのはやめて……」


 つい命はそう言って懇願してしまう。

 それが彼女にとって、最悪(?)の結果を招くこととなった。


 ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ……。


 「ちょっと! 待って!! なんで舐める?! それは本気でマズい!!!!」


 司郎は命に抱き着くと、その舌で命の胸から脇から身体のいたるところを舐め始めた。

 男性とそのような行為をしたことのない命にとっては、それはまさしく未知の行為であり、そのあまりの刺激にもはや息も絶え絶えで悶えるしかなかった。


 ――こうして、貸し切りの室内プールにおいて、あまりにもイケナイ光景が繰り広げられることとなった。



 ◆◇◆◇◆



 ――その大惨事から一時間後。


「ふう……、まったく、気持ちよさそうに寝ちゃって……」


 かなめはプールサイドで、眠る司郎に膝枕しつつその頭を優しく撫でている。


「いや……全く、散々な目にあったが……。司郎も欲求不満を開放出来て、十分な休息になったみたいだね」


 空がその司郎の寝顔を嬉しそうに見て言った。

 司郎の周りには少女たちが集まって、その穏やかな寝顔を安心した表情で見つめている。

 

「まあ……こういうコトもたまにはいいか。司郎ってこれからが大変だしね……」


 ――そう、あと二か月、その間にあと三人ぶんの試練が待っているのだ。

 それは、おそらく今まで以上に一筋縄ではいかないだろう。

 そして、その後には――、


「みんな……、もう覚悟はできてる?」


 かなめのその言葉に一様に頷く少女達。

 司郎を死なせない為に――、いやそれ以上に司郎を愛しているから――、彼女らはその身を重ねるのを望む。


 

 ――運命の時は近い。

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