第4話 表舞台に立てないことを表舞台に立っている人間のせいにするな

 正直、私は精神的に弱い人間だ。


 もろく、壊れやすく、自分でも嫌になるぐらい、ガラスのハートだ。

 ガラスのと言うと動物園だが、私はこう聞いた。

 

 あなたは左足が不自由だけれど、引きずって歩いてきたけれど、あなたはローラに向いていない。


 守れなかったんだ。わたしは。


 殺陣も、ダンスも演技も、男による、突然の悪意には無力、だった。これが、ヤンキー連中といた、中学時代だと、知らず知らずのうちに守ってくれていたし、手を出したらやられるぐらい、とがっていること、それを中学の同級生は認識していたし、多様性があった。


 これが、進学すると、一気に崩れた。


 どうもおかしいぞ、と気づいたのは、途中からだ。


 わたしは、こう聞いた。

 「お前さぁ、世の中、男がみんな惚れると思ってんのか?!

 世の中にはな男を好きになる男もいるんだよっ!」


 ヤンキー連中からの、ありがたーい言葉かもしれない。


 問題は、国内亡命、要するにあれだ、


 心を惹かれたのは、女性の先輩で、せっかく受かった、つまり、枠がひとつしかなく、推薦の時には、推薦用紙を教室内、テニスコートが見える、一番下の階にあり、部室棟が近くに見える、そこかちらしばらく歩くと体育館、裏道につながる。


 そこで、青春とは言い難いが、映画を、撮っていた姿を、昨日のように覚えている。


 その頃には、わたしも、彼、いや、先輩、ともいえる。小学校卒業以来、初めて再会した、同い年で、子役としては先輩な、彼。


 彼のことは、好きでした。


 そして、彼と仲良く話していたら、やっかまれたこともあります。そりゃそーだ。子役として、先輩から、

「NHKの時代劇の撮影、どうなりました?」

わたしは、こう聞きました。

「なんか、橋が、その、江戸時代?時代に沿って作ったら。


 台風で流れていったらしい。

 だから、撮影はまだ先かな」


 そう、この、同い年だけど先輩、という、微妙?、いや、仕事仲間という、丁稚奉公、児童労働がだいぶ減っていた、平成9年、1997年の話である。


 仮面ライダーベイルの舞台は、2022年から25年前の、1997年。


 私は、自分自身が何をしていたか、しばらくは思い出せなかった。


 仕事、である。無給とはいえ、そして、自分が稼いだ金が、だれのふところに入るかわからなくても、けして、その金が自分に返ってくることはなくても、懸命に、働いていた。


 就職氷河期。貧困。プレカリート、日雇い、とさまざまな呼び方がある。現在、左翼は、就職氷河期に職業、生業にありつけなかった、インターネットカフェで、公園で、そして、少ないお金で、ティッシュをしゃぶしゃぶしたり、鼻をかんだティッシュを食べたりした人の話を聞くが。要するに、最初から無給、無償労働と言う考えは、彼らの中にはない。1部の左翼の連中の中には、労働すれば金が入ると思っている連中がたくさんいる。


 そんなもんが、芸能界にあったら。働いた分の対価を払うだけのまともな神経を持ち合わせていたら。


 業界を、才能があるにも、関わらず、去っていく人の数はもっと減っていたはずだ。


 彼ら胴元、最初から自分のふところに入れることしか考えていない。

 

 事務所に所属していない、児童労働がどういう意味か全然知らない、子供の労働を低く、見ている人たちに、何を言っても無駄だって言う事はわかっている。

 

 

 でも、そうしたら、1997年当時にたくさんいた、児童劇団の人間は、死ぬまで報われないだろう。それだけは絶対やだ。


 春馬くんだって、最初は無給だったかもしれないし、そもそもエキストラと言うのは、扱いがひどいと言うのを知ったのは、ついこないだのことである。


 その他、大勢に対する扱いがだんだんひどくなっていったのが深作欣二の亡き後のことである。元から悪くなっていた待遇は、


 後輩が、放送委員会に入った後輩。ちゃおか、別の少女漫画誌で読んだ、放送部を舞台にした漫画では、キラキラと、恋愛だったり、青春していたが、そんなものは、別にない。



 あの日、あの時を鮮明に思い出せます。いきなり泣き出した、女の涙も、淡々と、泣いた理由を擁護する、同じ学年なのに大人びた彼の姿も、すべて、です。


 まとまらないけど、あの頃、わたしの二歳上で、高校時代、学生演劇に打ち込んでいた、中屋敷法仁さんが、舞台ダブルの後に、ドマステ、と言う舞台の稽古中らしいので、書いときます。


 母さん。


 あの頃、放送コンテストの、高校生部門に出ていたあの子、どうしたでせうね。

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