第3話 アイドル(偶像)ほど大変な商売はない。

King & Princeが、今年の5月で解散すると言う。

 有名なアイドルだったり、歌手だったり、俳優だったりすると、そのやめる理由に人は理由を求める。


 正確には、大衆が、だ。


 はっきり言って、今は寝たい。眠くて疲れて、気力だけでどうにかなる問題ではない。


 でも書こうと思うのは、このことを書かないと、死んでも死に切れないというか、この瞬間こう思ったことを書かないと、寝た瞬間に全て忘れそうで、怖いからだ。


 時計の針を戻そう。


 それが始まったのは、2000年の12月だったと記憶している。


 果たして、今の2.5次元俳優で、その時代から活躍している人間はどれだけいるだろうか。


 それぐらい前の話だ。

 

 自分と同い年に生まれ、2000年頃から活躍している人間の末路は悲惨なものもいる。

 薬物に溺れて、引退したもの。

 謎の死を遂げたもの。

 泥沼の離婚をしたもの。

 窃盗で炎上したもの。

 自分の体を痛めつけたがゆえに、引退を早めたもの。

 未成年飲酒疑惑で引退危機があったもの。

 付き合っている女性との問題により活動の主軸を移したもの。


 どうしてこんなにも、1986年生まれで20世紀から活躍している人間は悲劇が多いのだろう。


 わたしの炎上は、はっきり言って、一番早かったと思う。もしも、無給での舞台活動を芸能活動とカウントするなら、の話だが。


 さて、と。私が炎上騒ぎを起こしたのは、気がつけば、私が作り出した偶像というのが私を置いてけぼりにしたからである。


 そもそも、見た目と自分のイメージというか、対外的な見た目に合わせて自分を構築しようと試みていた。今でもいうセルフプロデュースだが、完全に失敗したのだ。


 私が炎上した時、大人は全員、誰も守ってくれなかった。


 誰もが自己責任だと口を揃えて言う。


 男の子が暴走したんですよー。


 止められなかったんですよー。


 それで終わり。


 要するに、自分に降りかかる矢は、自分でなんとかしてください、ってことである。


 知らんがな。


 と言いたいところだが、当時から大衆と言うのは、正確にはある程度頭が良い、いや、頭は良いと言うべきか。


 偏差値60以上だと、正解は1つしかないと、真実は1つしかないと考えておる。


 常に百点満点を取れる俺が、世界を間違って見ているはずなんてないのだ。


 いったいどこからその傲慢さが出てくるのか、私にはわからないが、ユークリッド幾何というのが彼らにとっては、絶対的に真実らしい。


 この世は最低三次元であり、四次元関数というのは、数学上の戯言である。


 ところが、残念ながら、彼らが想像しているユークリッド幾何の世界は、幾何学成立時に否定されていた。


 そもそも、受験用の数学、ユークリッド幾何学、と言うものは、計測用に行われた、要素で、簡単に世界の大きさを知るために、作り出された学問である。


 問題は、円周率と言うものが、実際にはとてつもなく長く、今でも計算中であるように、球体を人間は正しく測ることができないと言う事を、彼らの小さな頭の中ではわからなかったと言うことである。


 ユークリッド幾何において、絶対的な数値しか存在しない。


 ところが、実際には質量があり、時間が存在し、劣化と言う概念があり、重力が存在するので、実際の大きさと言うものは、気候条件、その室温、光の量、その他諸々の条件によって変動する。


 そういったことをわからない人間が、真実はいつもゼロであり、ゼロゆえに、他の反論は許さないと言うデカルト的、ベーコン的、要するに、凍死して亡くなった彼ら。


 デカルトやベーコンをほめたたえる人がいるが、奴らの死因ほど悲惨なものはない。偉そうなこと言ってる割に、彼らの死因は、今でいうTwitterで明かしたら炎上必須の自己責任と言うやつである。

 

 死因を選べるとすれば、凍死と焼死と交通事故死とガンと白血病、それ以外にもろもろ死因というのはあるが、個人的には老衰が理想である。


 毎日死にたい死にたいと思って生きているが、楽に死にたいので、デカルトとベーコンの死は避けるようにしている。

 節電だ?なんだそれ。


 みんなデカルトやベーコンのように死ねということか。

 強制収容所、シベリアのラーゲリでのように、アウシュビッツのユダヤ人のように死ぬと言うことだろうか。


 そういったことを平気で言えるやつらに、何を言っても無駄ではないだろうか。


 つまり、私が炎上したのは、偶像であることを放棄したからだ。


 1人の人間として生きていきたいと思うと、普通の女の子として生きていたいと思ったのだが、周りはそうは思ってはいなかったらしい。


 彼らが想像し、作り上げた私の歴史を、否定する事は誰にもできない。

 彼らにとって、それが真実である以上は。


 要するに、歴史というものは、思い込みと雑念と経済でできた代物である。


 こんなこともあった。


 2021年2月に久しぶりに舞台に立ったところ、こんなことがあった。


 本番20分前位の出来事だろうか。


 淡々と1人で準備を進めていると、声がかかった。


 私はこう聞いた。


 高校生なんですか?


 働いてます。公務員です。


 そう答えた記憶がある。


 様々に約20年ぶりに舞台立つと言うのに、緊張でマックスであり、正直そういうのに構ってられないのだが、まぁ見た目からすると、芸歴30年以上に見えず、初舞台を過ごそうとしていると思われがちだろうが。


 長くACM劇場に立ち過ぎて、若干つくもがみ?と化しているがゆえに。


 そもそも舞台に立つっていうのは、私にとって散歩の延長であり、散歩の途中に、たまたま舞台があったから立ってるだけである。


 とは言うものの。


 緊張は大マックスであり、正直に言うと、人生で1番緊張したのがあの舞台であると胸を張って言える。


 なお、ほぼ同じ時間に、今度閉鎖となる劇場で戦っていたメンツがいる。


 悪いことに、緊急事態宣言が出たので、被るはずのない私の出演時間と彼の出演時間被ると言う奇跡が起きた。


 当たり前だが、後輩が頑張ってるのに、先輩が頑張らないと言う選択肢は無いのである。


 その公演は、舞台刀剣乱舞、天伝である。


 要するに、初期刀が頑張っているのに、審神者(さにわ)が頑張らないと言う選択肢は無い。


 私の推し刀剣は、山姥切国広。初期刀に彼を選ぶかすごく悩んだが、私は結局彼ではなく、別の子を選んだ。この子を選ぶために何ヶ月も待ったのだから。


 山姥切国広を演じる声優さんの出身地は茨城県。


 別の子の名前は、加州清光。


 演じる声優さんは増田俊樹。

 私の好きな俳優である。


 彼の出身県は、広島県。


 奇しくも、今、毎週聴いているラジオのパーソナリティーも、広島の出身である。


 彼の名前はゆうたろう。


 ここまで広島に縁があると言うのは、一体何の導きだろうと首をひねるが、わからないこと、なんていうものは世の中にたくさんあるのである。


 子供の頃にわかりかけたことが大人になってわからないことだってある。


 ちなみにこの歌は、ザ・ハイロウズの、アニメの主題歌。


 名探偵コナンの確か最初のオープニングである。

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