第32話 だが断る
犬派か猫派という争いを終えた俺たちは、ゲームをしている。今思い返すと、俺が行きたかったドックカフェ行って、猫カフェ行ってっと争っているようで、ただただ遊んでいるだけだと思いながら、無言でレベル上げに専念している。
「あ、先輩。私がせっかく猫派と言う新しい扉を開かせてあげたので、猫飼いましょう。保護猫でも大丈夫ですよ?」
「ダメだ。」
「ど、どうしてですか?ちゃんとお世話しますよ?ちゃんと、ご飯も上げますし動物病院の予防注射とかもちゃんと生きますから~」
っと、ゲームのキャラで通せんぼしたりして、行先を防ぎながら猫を飼いたいと言っている。
「いいじゃないですか~よ、先輩カッコいい。」
「煽ても無駄だ。」
「ええ~ケチ~いいでしょ~ねえ~ねえ~せんぱ~い」
「辞めろ。ゲームに集中できない。」
小倉はコントローラーを離し立ち上がり、俺の肩を揺らしたり、俺の顔をのぞき込んだりとおねだりしてくる。
「先輩は私とゲームどっちが大切なんですか?」
「....ゲーム?」
「違うでしょ!!そこは、可愛い後輩でしょ。可愛い後輩のお願いの一つや二つのお願い聞いてくれてもいいじゃないですか~」
「まあ、この部屋に猫が居たらにぎやかになるしな~」
「でしょ!!だから飼いましょうよ~」
「だが断る!!」
俺はレベル上げをひと段落つけ、コントローラーを片付け岸辺〇伴風に言ってみた。
「どうしてですか~私がこんなにお願いしているのに~」
っと、ふてくされたような顔でこっちを見てくる。
「まず...」
「はい....ゴクリ」
「俺のアパートはペット禁止だ。」
「それは知ってます。」
「え?」
俺のアパートはペット禁止だと知らないのだと思ったが、どうやら違った。
それを了承のうえで、小倉は言っていたようだ。
バカなのかな?
「もし、バレたらどうするんだよ?」
「最悪、退去とか?」
「だよね、だから無理なんだよ」
「いいじゃないですか~先輩なんてアパートなくても家近いんでしょ?」
「まあ...じゃなくて。」
「ぶ~」
口を膨らませて、鳴らしている。
「じゃあ、豆柴でいいです。」
「種類じゃなくて、動物がダメなの」
「じゃあ、先輩が猫になってください。」
「おい、それはちょっとキツイぞ」
っと、小倉が前猫耳をつけていたやつを、俺の方に持って来た。
流石にそれは、キツイ。
「そんなの、やってみないと分からないじゃないですか~ほらほら、頭に猫耳つけてくださいよ~」
「おい、やめろよ」
小倉が、俺の頭に無理やり猫耳をつけてくる。
俺はそれに抵抗しようとするのだが、抵抗むなしく猫耳をつけられてしまった。
「は~い。猫耳先輩の完成~」
「ニャ―....」
「....」
「おい、やめろ。俺はお前に合わせたんだぞ。無言になるな。」
「...キツイですね....」
「だろ...」
俺はそっと、頭に付けられた猫耳を外し、クローゼットの中に永久封印をした。
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