第28話 風邪を引いた俺

朝、目を覚ますと体がぐったりしていた。寝不足かと思いながらも、起き上がってみると気分はすぐれず、体も動かしにくかった。身体を起こすたびに、鈍い頭痛が襲ってきた。


熱を測るために温度計を手に取ると、『37.8』という数字が飛び込んできた。思わず目を疑って何度も測り直したが、結果は変わらない。高い数値ではあるが、ごく一般的な熱の温度だ。

 

ーーー風邪を引いてしまったか……


俺は、久々に風邪を引いてしまった。

 この5年ほど風邪を引いたことがなかった。むしろ、俺は一生風邪を引かなくなったのではないかっと思ったのだが、そんなことは無かったようだ。


とりあえず、動くたびに頭が痛いので、コップにお茶を注ぎ風邪薬を飲み再び布団に入り二度寝をすることにした。


「先輩、先輩!!」


体が不調の時は、中々眠りに付けない。

 なんで、俺は起きてしまったんだ。

と言う、風邪に気づかずにずっと寝ていれば良かったと後悔している中、ようやく眠りにつけると思っていると、敷布団で寝ている小倉が俺を起こしてきた。


「どうした...」

「先輩....どうしたんですか?」

「風邪をね」

「わ、私の風邪が移ってしまいましたか?ごめんなさい....」

小倉は、俺が看病したことで風邪を移したのではないか?

 そう思い、少ししょんぼりして謝ってくる。

俺の体調管理が出来てなかったせいで、小倉が気にしなくていいのに...


「いや、お前のせいじゃないって、早く大学行ってこい。たしか、今日は小テストじゃなかったか?」

「そうですけど...」

「単位に関わるから早く行ってこい」

「はい....で、でも!!何かあったら連絡してくださいね。私が風邪の時に買ってくてくれたお薬を持ってきます。これを飲んでよく寝てください。」


と、小倉が風邪の時に買ってきた風邪薬を持ってきてくれた。俺は、風邪薬を飲んで寝ていると『ガチャ』と言う、扉が開く音がした。

泥棒かと思ったが違った。

小倉が帰ってきたのか〜っと思いもう一眠りしていると、トントンと何かを作っている音がした。


「んあ....」


目を覚まし、誰だろうと見てみると小倉では無い妹の彩が料理を作っている。


「え?」

「あ、兄さん起こしましたか?ごめんなさい。」

「どうして彩がここに...」

「兄さんが風と小倉さんにナインをもらいまして、看病をしに来ました。」

「学校は?」

「休みました~」


っと、学校を俺の風邪の為に休んできたらしい。


「学校に行きなよ?だいぶ熱も引いたし」

「ダメです~兄さんは私がどれだけ心配しているかわかっていないようですね?だから、今日は私は泊まります~」


俺の方に近づいて、俺がデコについているぬるい冷えピタを外し、新品の冷えピタを俺のデコに貼り付けてきた。

 しかし、いつの間に冷えピタを張ったのだろう?

小倉が風邪を引いた時の冷えピタは、まだ余っているけど頭が痛すぎて張ってなかったんだけどな...


「冷た!!」

「もし、家を追い出したら小倉さんに兄さんのパソコンにあるファイルの中身をバラしちゃいます~ずいぶんまたエッチなファイルが増えてましたね~」

「み、見たのか!?」

「さあ~」


っと、とぼけているが多分見たのだろう?

 俺のパソコンには、確かにエッチな物からエッチなゲームまで増えているから...


「それより、兄さんはお腹空いてません?」

「ん~ちょっとだけ...」

「じゃあ、はい。あ~ん」


っと、レンゲに入ったお粥を口に持って来てあ~んをされてしまったが断われなく、仕方なく口にして風邪薬を飲んで再び寝た。


「へえ~先輩のコレクションが増えてますね~」

「ですよね~兄さんはもう隠すことを諦めたと思ったのですが....まだ、ほかにも隠しているようですね」


再び目を覚ますと、俺のエロ本を囲んで対談をする、二人が居る....


「おい」

「あ、兄さん起きましたか」

「先輩、おじゃましてます~」

「俺の隠しているエロ本を取り出すんじゃありません。高校生とかまだお酒の飲めない子には悪影響なので、読んではいけません。なので、そのエロ本を元の場所に戻しなさい」


そういって、エロ本を元の場所に戻してくれた。


「じゃあ、夜ごはんのお粥です。あ~んです。兄さん」

「じゃあ、私も!!」


と言う感じで、謎のあ~ん現象が発令され何とか二人のレンゲとスプーンに入ったお粥を食べた後、なんと風邪薬を飲みもう一度寝ると熱は下がっていた。

 目を覚め、小倉と綾は帰ったかなっと思い目線を下に知ると、小倉と綾は一緒に寝ている。


「お~い、綾~起きろ~今日は学校なんだろ~」

「ん~兄さん。実は今日は祝日なんです。」

「うそつけ、カレンダーが赤くなってないぞ」

「ぶ~別にずる休みしても卒業できるのに~」


小倉は、こんなに喋っているのに全く起きないのだが...

こいつは、睡眠深すぎだろっと思っていると、綾は小倉の頬をツンツンとつついている。


「兄さん、兄さん、小倉さんの頬が柔すぎます。」

「ほお~どれどれ」


っと、俺と綾は小倉の頬をツンツンとしていると、さすがに起きた。


「な、なんですか!?私は、スライムとかじゃないですよ!?」


小倉の思考はツンツンされるのは、ゲームとか異世界とかに出てくるスライムと思っているらしい。


「いや、柔らかったから」

「私もです。」


そんな感じで、綾はそのまま学校に向かい、俺と小倉は大学に向かった。

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