第2話


「先輩、ドリアン臭いです」


「俺はもう、慣れた。」


冷蔵庫を開けるたびに、ドリアンの臭い匂いが立ち込める。しかしスーパーで散々嗅いで鼻がバカになったか、匂いに慣れたのか匂いが気にならなくなった。


「こんなか弱い女性がいるのに、この匂いをなんとかしようとする気はないんですか!?」


「か弱い女性は、匂いで倒れませ~ん」


「むううう〜」


女性と言う立場を生かして、この匂いを抑えて貰おうとしたのだろうが無駄だ。匂いで人間はしにましぇ〜んっと、匂いに対して何もしないと、頬を膨らませて怒っている。


そんな事を思い、洗濯物を洗濯機に放り込んだ。


「あ、先輩。服は柄物とか分けないとダメですよ」


「大丈夫だ。俺の服は柄物で白い服はない。安心しろ」


「私の服もあるんですよ。なので、先輩のは後で洗濯機を回してくだい。」


「おい、洗濯機ぐらい自分の家で回してこいよ。」


「だって〜先輩の家で泊まる時もある人間ですよ!?着替えぐらい置いてくれたっていいじゃないですか!!」


「分かったよ...」


何故か理不尽に怒られた。

洗濯機は、とりあえず俺の服は取り除き、洗濯機のスイッチを押した。


「先輩、お皿取ってくださいよ」


「わかった〜」


台所から大きなお皿を二皿取り出し、ご飯をよそった。その間、小倉はカレールーを入れて鍋をかき混ぜている。


どうやら、ようやくカレー煮込み終わり完成したようで、お皿にカレーを入れ机に置いてくれた。


「「いただきま〜す」」


「辛ええええ!!」


「ふっふふ〜ドリアンの匂いをなんとかしてくれなかったので、先輩の要望した甘口カレーを辛口のカレーにしました〜」


辛い。

俺はカレーライスは甘口か中辛しか食べれない。

それ以外は辛いかくて食べるのに時間がかかる。


「ヒーヒーヒー、みじゅ...」


コップに入った水を飲んだが、まだ辛い。

身体中から、汗が吹き出してきた。


「せ、先輩はお子様舌ですから食べれないんですね〜」


っと、煽ってきている小倉だが、小倉の額からも汗が吹き出している。


どうやら、小倉も辛いのはダメなようだ。


「そんな事言っている小倉も額から汗が出まくっているじゃないか」


「これは、先輩が辛いのを無理して食べているのを見て、笑いを堪えていたら出た汗です。」


「その割には、スプーンが進んでいないようだが?」


「先輩に合わせて食べているのでお構いなく」


と意地を張っているので、コップに牛乳を入れ、カレーには生卵とチーズを入れた。


どちらも、辛さを和らげている物である。


チーズと生卵をカレールーにかき混ぜ食べてみると、まだ辛いが食べれないほどではない。そして牛乳を飲み辛さを無くしながらカレーを食べ進めていると、俺に合わせていると言った小倉は全く手がが進んでいない。


「あれ〜全く手が進んでいない様子ですが〜」


「うぬぬ...」


「辛いのを食べれないと認めるなら、この牛乳とチーズさらに生卵を入れてあげるけどな〜」


「先...輩、その白い液体とドロッと溶けるチーズと先輩のタマタマをください。もう我慢できない!!」


「なんで、エロチックに言い換えるんだよ。牛乳とチーズと卵って言ったほうが、早いだろ」


「私が...苦しんでいる様子を見て興奮している先輩のご褒美的な...?」


「興奮するか!!」


「いった〜もー」


頭をチョップして、牛乳・卵・チーズを渡した。

ようやく、小倉が作った辛いカレーを完食する事が出来た。


いつもなら、カレーは10分で食べれるのだが、辛いカレーだったので、30分以上もかかった。


「うう....先輩。カレーは甘口に限りますね。」


「そ、そうだな。」


辛さで、体力が奪われて床で少し寝転がっている。


「ドリアンがデザートにありますが、どうしますか?後にしますか?」


「後にしよう。今は汗だくだから先にシャワー浴びてくる」


「そ、そうですね。では、私が先に...」


「それはちょっと、おかしいんじゃないんですか?小倉〜」


トイレとお風呂が同じ場所にある洗面所に家主である俺を置いて、先に入ろうと小倉がドアノブの手を取った。


その、ドアノブを開けないように俺も小倉の手を握り洗面所に入らないようにした。


「そ、そうですかね。私は先輩にレディーファーストと言うのがてっきり分かっているのかと思っていました。」


「ああ、こ○すばのカズマさんも真の男女平等は女性にドロップキックを喰らわせられると言っていた。だから俺には、レディーファーストなんて言う文字は俺の辞書には無い。」


「そんな事言うと先輩はモテませんよ〜」


「いいさ、大学でもボッチだからな、女性と喋るなんて小倉しかいない、だから大丈夫だ。」


「ふ〜ん、あ、先輩足元にゴキブリ」


「ヒャー!!」


「嘘です〜では、お先にシャワー頂きます〜」


「クソ...はめられた。」


俺が虫嫌いだから、ついゴキブリと言われて反射で振り向いてしまった。


ゴキブリを出ないように家は綺麗にはしているのだが、たまに出てくるのではないかっと心配で警戒しているのがあだになったか。


「あ、先輩、タオル取ってくだい。」


「え〜それくらい準備してなかったのかよ〜」


「だって、先輩は焦らすから〜それより早く取ってください。体かが冷えるじゃないですか」


「はいはい、え〜と、あいつのタオル」


クローゼットの下に置いてある、小倉のタオルお取り出し洗面台のドアの前に置いた。


「置いたぞ〜、開けて取れ〜」


「先輩、見ないで下しよ」


「見ない、見ない」


と言って、小倉は扉を少し開け手を伸ばしタオルを取り出した。


「あの〜先輩...言いにくいのですが、着替えを持ってきてくれないでしょうか。あ、なるべく下着は見ないで欲しいです。」


「おい、着替え全部忘れるとかどれだけ早くシャワー浴びたかったんだよ」


クローゼットの上にある、小倉の服とクローゼットの下にある下着を適当に取り出しタオルと同じところに置いた。


しかし、女性の下着に場所を知っている男というのは、変態と言われて言い訳できるのだろうか?


少し、不安になってしまったが、まず、何故小倉の下着が俺のクローゼットの中にあるのか不思議に思ったのだが、俺の感覚が麻痺しているのか、それほど深くは考えなかった。


ようやく、小倉の服を着着て洗面所から出てくれた。


「先輩、次いいですよ〜」


「分かった〜」


俺は小倉と同じ過ちを犯さないように、タオルと着替えを持って洗面所の中に入り、汗を流して体を拭き洗面所から出た。


「ふう、あ〜さっぱりした。しかし、臭いな〜この家...」


お風呂に出て、匂いの耐性がリセットされたのか、また臭い匂いが鼻を襲ってくる。


「そうですか?慣れると、それほど臭いとは思わなくなりましたけど」


「え、すご...お風呂入ったら、リセットされない?匂いの耐性的な...」


「いや、無いですね。それより早く食べましょうよ。この臭いけど、果実の王様と言われているドリアンを」


「え〜、冷蔵庫から出すの?」


「出さなきゃ食べれないじゃ無いですか?」


「俺がこの匂いに慣れてからにしてくれても」


「はい、ダメです。私がこのドリアンを買ったんですよ。いつ食べるかは私が決める権利がありますよね。だから、今食べます。先輩まな板と包丁を用意してください。」


と言われて、この臭い果実の王様ドリアンを食べることになった。

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