第68話 心配してくれる幼なじみ

「…おにい? ねぇ、大丈夫? 顔が赤い…」

「おはよう…」


体が重い。風邪をひいたか、ただ疲れが溜まっているのかは分からないがいつもより明らかに調子が悪い。


「熱? 風邪? 大丈夫? …水とか飲む?」


と、すっごい心配してくていれる歩美。大丈夫と言いたいところだが、どうにも体が重い。


「歩美ー? お兄ちゃん起きないの?」

「おねえ、おにいがヤバそう…死んじゃう(?)」

「死にはしない…熱はあるかも」


姉ちゃんは俺の額に手を当てた。


「ほんとだ。ちょっと熱い。その感じだと休んだ方がいいかもね」


体温を測ると37.5度。平熱は高い方では無いので普通に熱だ。


「はしゃぎすぎて疲れただけの可能性もあるけどな…」

「どんな理由でも、無理しない方がいいよ」

「わかった…じゃあ今日は休む。歩美は心配せず、学校行ってこい。兄ちゃんのせいで成績落ちたなんてなっちゃったら、兄ちゃん失格だ」

「割と余裕がある大学生の姉ちゃんが何とかするから大丈夫」

「…わかった。無理とかしないで、ちゃんと休んでよ」


歩美は心配そうにしながら家を出た。


「とりあえず学校には連絡しといた。熱がある以外に体調悪いとこある? 」

「熱くてだるい意外特に大丈夫」

「とりあえず解熱剤取ってくるから待ってて…あっ、他に欲しいものある?」

「いや、大丈夫」

「わかった。なんかあったら言ってね」


そう言って姉ちゃんは部屋を後にした。

楓にとりあえず休むことを連絡しよう…と、思ったがスマホの充電がない。充電し忘れていたらしい。


「きょーが、薬切らしてたみたい。すぐ買ってくるね」

「それなら行かなくていい…そんなキツくないから寝てりゃ治る」

「悪化したら困るからダメ。あとでいっぱいかまってあげるから待ってて」

「…」


そういう意味じゃないんだが…


「…まぁ、とりあえずありがとう」

「いってくるね」


姉ちゃんは歩美とはまた違う良さがある。歩美はかわいいの具現化って感じで、姉ちゃんは優しくて声を聞くだけで安心できるような気がする。

もちろん歩美といても安心するし、姉ちゃんもかわいいところはある。

明日まで熱が続かないよう、今はゆっくりやすんでいよう。


………


ピーンポーン…


ぼーっと休んでいると、インターホンがなる音が聞こえた。姉ちゃんは今はいないし、この時間…配達とかではないだろう。一応確認しに行こう。


重い体を動かして、一階へ降りた。ある無いほどでは無いが、思ったよりしんどい。


「はーい…」

「迎えに来た…って、あんた大丈夫? 風邪?」


扉を開けると、そこには楓がいた。そういえばスマホは充電中で電源を入れていなかった。


「すまん…見ての通り風邪。ちなみにスマホの充電切れてた」

「こっちもごめん、いきなり来ちゃって…家、誰もいないの?」

「姉ちゃんがいて、今薬を買ってきてくれてる」

「そう……とりあえず私のせいであんたに無駄な体力使わせちゃったわけだし、部屋まであんたを連れてくから」

「そこまで俺はボロボロじゃないから大丈夫だ」

「いいからいいから遠慮しない。遅刻しないように出てくし」


俺の家によく来ていたし、家族とも面識ある。なんなら姉ちゃんと歩美とそれなりに仲がいい楓は、普通に家に上がってきた。


「肩貸そうか?」

「いや、大丈夫…」

「じゃあ部屋行こ」


普通に着いてくる楓。いつもより優しいし、多分心配してくれている。無理に追い返すのも悪い。

部屋に入ると、楓も当然のように俺の部屋に入った。


「はい、寝て。明日までに治す」

「わーってるわーってる…」


ベッドに横になると、楓は床に座った。体を横にして楓の方を見ると、暇なのか部屋をを見渡している。


「…鍵開けっぱでいいから行っていいぞ」

「あんたの部屋って意外と綺麗だよね」

「そりゃ歩美と姉ちゃんが勝手に入るからな。特に歩美には汚い部屋なんて見せたくない」

「はいはい、シスコンお疲れ様でーす。あっ、イルカのぬいぐるみ? あんたこういうの好きだっけ?」


昨日coreと買ったぬいぐるみ。俺の部屋にはぬいぐるみなんてものないので、目には入りやすい。


「まだタグついてる…土日に行ったの?」

「昨日行った…で、多分はしゃぎすぎて今日熱出た」

「なんかダサ…ちなみに誰と行ったの? 家族?」

「………友達」


ネットの人とは言いづらい。出会い系とかそういう掲示板で出会ったと思われる可能性があるので。


「…なんか怪しい」

「体調悪い人を問い詰めるな。マジ普通に友達」

「彼女か」

「彼女なんていねーよ」

「ふーん…」

「ほ、ほんとだからな? 俺は嘘なんてついてない。見ろ、この曇りなき病人の眼を」


楓は疑いがありそうな眼で俺の眼を見た。じーっと見られている…


「ん?」

「…」

「何赤くなってんの? あんたが見ろって言ったんでしょ?」

「そうだけども…俺はこういう生き物だから(?)」

「あんた、意外と元気じゃん…」


ちょっとぼーっとするけど、体にほぼ異常は無い。話せるくらいの元気は残ってる。


「話すくらいなら余裕。明日は絶対行く」

「無理はしないでよね…あっ、帰りに授業のプリントとかあったら持ってこようか? 課題とかあったら困るでしょ?」

「いいのか? 丁度明日までの課題を先週持ち帰り忘れたから、クラスの友達に頼もうとしてたからすげぇ助かる」

「いいよ。私が持ってく。家近いからすぐだし」

「あざっす。持つべきものは楓ちゃんだぜ(?)」

「何言ってんの? …とりあえず私そろそろ行くから」

「うっす。話し相手になってくれてありがとな」

「ん、私で良ければいつでも話し相手になってあげるから…はぁ」


楓は立ち上がると思ったら、頭をベッドの上に置いた。


「…学校ダルい。行くのがダルい」

「急にどうした?その気持ちは分かる。けど行け」

「あと2分…」

「タイマー2分セットしとくからな」

「んー」


2分後…


〜♪


「起きろ。遅刻するぞ」

「…はーい」


楓はダルそうに立ち上がった。


「じゃあいってきまーす。私が来るまでに顔色良くしといてよ」

「いってらっしゃい。薬飲んで寝るからマシにはなるだろ」


楓が出ていった後、とりあえず友達にメッセージを送った。

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