第48話 食事=デート?

本日の食事は?


和風と洋風 どちらが お好みですか?


それともイタリアン?


『なんでもいい…お前にまかせる』

萌衣は春陽はるきの言葉を思い出す。


デスクに深く腰を掛けた私はPC画面と睨めっこをしながら、片手間にスマホを

インターネットに接続し【食事、店】で検索し片っ端から飲食店を探している。




あれ? とういか、この場合のお会計はどっちだ?


私から誘っといてお会計だけ春陽はるき社長に出してもらうのは……

ちょっと、図々しいくない、、、、?


でも完全、給料に格差あるし、、、っていうか、春陽はるき社長の方がかなり

上にいて、雲の上にいる春陽はるき社長と私では月とスッポン、大富豪と平民…

…いや、それ以下の凡人だ。



ここは取りあえず、自分の分だけでも支払いができる店の方がいいよね…。


でも、春陽はるき社長って食べれない物とかあるんだろうか…。


何不自由なく暮らしてきた会社の御曹司でそのまま跡を継いだ春陽はるき社長は

食べ物だってキャビアとかフォアグラとか庶民が食べれない物ばっかり

食べてきたんだろうな。


庶民の味が果たして春陽はるき社長の口に合うかどうか……







ピコピコピコ……


ああ…定時刻の音楽が聞こえる――――ーー。



デスクに頭を預け、6時を差す柱時計がその目に入り込んできた。


そんな時でさえ秒針はチクタク…と休むことなく右回りに動いている。



もう、6時かあ…


「え、もう6時!!」

 

萌衣は思わず飛び起きるようにその場で立つ。



事務仕事も殆ど手つかずだ…結局、店の予約もしてない、、、


考えすぎて頭がパニック状態だ、、、でも、春陽はるき社長と食事はしたい。


まるで、ダダをこねる子供と同じだ。


「おい、帰るぞ」


帰り支度をした春陽はるきが萌衣のデスクまでやってくる。


「おい、帰るぞ」


「へ?」


「食事、行くんだろ?」


「私…まだ…仕事が…」


私は慌ててPC画面に顔を向ける。

 

春陽はるきは萌衣の顔の横からPCを覗き込むと、「ああ、それは急がねー

から」と素早く電源をシャットダウンさせた。


え!?


「あの…社長、すみません。色々考えすぎて店の予約するの忘れてしまいました。

残念ですが、今日の食事は…キャンセルで…」


私は申し訳なくというか、残念そうな気持ちで頭を下げる。


「そうか、じゃ仕方ねーな。帰るぞ」



「へ!?」


顔を上げた私はキョトンとした視線で春陽はるき社長を見ていた。



それこそ拍子抜けにあったような呆然とした顔だ。

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