第22話 ハイスペックイケメン社長、藤城春陽 登場!!
私は【藤城コーポレーション】オフィスビルの前に来ていた。そこは幾つものガラス窓と遊び心を取り入れた透明感溢れるオシャレな造りでできたオフィスビルで、その偉大すぎる外観を眺めながら私はいかに自分が小さい人間なんだと思い知らされる。何もかもが庶民と成功者の違いを見せつけられているようだった。
私はまるでその一角だけ別世界にいるような感覚に
そして、私はゆっくりとオフィスビルの中へと入っていく。
広い空間でできたオシャレなロビーを仰ぎながら私は受付ディスクまで進んで行く。
そこには受付の顔にふさわしい上品な顔立ちと気品溢れる2人の美女が座っていた。オレンジ色の髪を頭の上部で束ねアップしている女性の胸元には【
「あの、すみません…面接に来たんですけど」
私は花園さんに尋ねる。
「アポはとってありますか?」
落ち着きのある透き通るような美声で美登里が答えた。
「え…アボ…いえ…。アポがなければ面接を
していただけないんでしょうか」
私は身を乗り出すようにして言った。
「少しお待ちくださいね」
花園さんはそう言うと、受付デスクの電話からどこかに電話をかけていた。
常に姿勢を正し、会社既定の制服を着ていてもわかる形のいい豊満な胸と
スラリと伸びる美しいスタイルはまさに憧れの体のラインといえる。
その上、優美に満ちた接客態度は受付嬢にふさわしい美女達だ。
それとも
私はバックの中から履歴書を取り出す。
「…そうですか、わかりました」
高雅に洗練された口調で話す美登里が受話器を下した後、
すぐにその視線は萌衣に向く。
「社長は只今、外出していますが…」
「え…そうなんですか」
萌衣が残念そうに俯いた、その時だった――――ーーー。
彼女達の視線に
「社長! お帰りなさいませ」と、突然、2人の受付嬢がピーンと
背筋を伸ばし席を立つと、深く頭を下げた。
え!?
俯いたまま私は背後から迫り来るオーラに顔を上げることができず、
暫く硬直していた。
自動ドアの音も足音も全く聞こえなかった。
「何か変わったことはなかったかい?」
低い男性の声がやや頭上斜め隣から聞こえてきた。
静かに萌衣の隣に来た
「はい、こちらの方が面接にいらしてます」
「面接!? 」
嫌な汗がじんわりと頬を伝い,心拍数は標準値をかなり上回り、
バクバク高鳴った心音に緊張感が上乗せされていた。
手汗がベトベトする。
そして、私はゆっくりと顔を上げる。
「‥‥!!」
凍りつくような目で私をキラリと上から見下す
思わず私は全身に電気が走ったような震えがきた。
と、同時に手の筋肉が緩み握りしめていた履歴書をポロリと床に落とす。
「
思わず小さくポロッと口から漏れた言葉にハッとし私は両手で口を
ジィッと萌衣に鋭い視線を向けていた。
「スリーサイズ言ってみて(笑)」
その顔は過去の
「へ!?」
思わず私はキョトンとした顔で固まっていた。
足がガクガクして動くこともできず、言葉さえも喪失していた。
あきらかに優美な大人の女性達に比べ、萌衣のスタイルは幼い。
蝶になれない幼虫の感覚だ。太ってはないものの、胸も腰のくびれもない。
まさに幼児体形だ。
会社面接まで来て、改めてスリーサイズを聞かれるなんて思わなかったが、
これってセクハラに
この場合、なんて答えればいいの?
え? 会社面接にスタイルって関係あるの?
スタイル良くないと面接してもらえないの?
即,落選ーーー。不合格ーーー。
問題外ーーー。
不採用ーーーガーン……。
そんな言葉があたしの頭の中をぐるぐると
連動のごとく回っていた。
あまりにも
イラ立ちを隠すように
「じゃ、君は言える?」
彼女の胸元に付けた名札には【秘書・
と書かれている。
「はい。上から87、59、83でございます」
麗花は嫌な顔 一つ見せずに確実に答えている。
〈うそ…普通に答えてるし…〉
「じゃ、君達は?」
その後、
「はい、85、55,81でございます」
「私は88、60、85でございます」
〈しかも…みんな、めっちゃスタイルいいし。出てるとこ出て、
ウエストきゅって引き締まってる…〉
「じゃ、君は?」
その流れからして、やっぱ、そうくるか…
そのスリーサイズってそんなに重要なのか……
まさかスリーサイズで採用の合否を決めているんじゃ……
だったら私なんか絶対無理じゃん。
「ごめんなさい。間違えました」
気づいたら私は走り出し、その場から逃げ出していた――――ーーー。
「ん……?」
萌衣が【藤城コーポレーション】を出た後、
気づき、それを拾うとそっとスーツの内ポケットへしまう。
この時、私の履歴書が
赤面したまま ひたすら 駅に向かって街中を走っていた。
母は
さっぱりわからないや、、、、、、。
所詮、私は甘かったのだ。
私が母の過去へ行って
この時代の
幼い頃から学生時代、大人になった
変わっていくのは仕方ないじゃない。
私は何を期待していたのだろうか……。
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