第8話初日
俺は家に帰る。
意を決して立ち上がった。
初日ではあるが一応入りたい部活を見学するのは可能らしい。
帰る支度をしていると昼一緒にご飯を食べた水沢と大垣が近づいてきた。
水沢「よっ高橋」
大垣「高橋これから野球部の見学見に行かね?」
俺 「え?」
水沢「え、高橋行くでしょ?笑」
まじか。
俺はこれから家に帰りゲームする気満々だった。
正直怠い。
別に明日からでもいいだろ。
内心強く思った。
俺 「い、行く行く」
言ってしまった。
本音が言えない。
水沢「だよなー笑」
大垣「球場農場の隣だからな、来るとき気をつけてなー」
俺 「おう」
言ってしまったからには行くしかない。
ここでドタキャンすると後々めんどくさい事になる。
30分だけ見て帰るとするか。
球場に到着した。
周りは田んぼに囲まれていて田舎の練習場といった雰囲気だ。
高校野球というだけあって活気が凄い。
他の見学者も俺を含め13人ほどいる。
中には幼馴染で小中一緒の橋本と鈴木もいる。
橋本「東、足大丈夫?」
鈴木「東も野球部に入るんだ」
俺 「うん、一応入るよ笑」
無理に笑った。
2人とは今まで野球をしてきた仲だ。
だから本音は言える。
俺 「橋本と鈴木も入るんだ」
橋本「当たり前よー」
鈴木「入る入る」
他に話したいことがあったが止めた。
他の生徒が2人に話かけたからだ。
皆は普通に会話している。
中には先輩たちともう仲良くなっている人もいる。
俺も先輩の一人に話しかけられたが、怪我の事を聞かれたぐらいだ。
正直俺は皆と違う。
一人松葉杖で見学。
先輩も少し遠慮気味だ。
10分少し過ぎたぐらいで俺は飽きた。
他の奴らは見るだけなのに何故そんなに食いついて見学してるのか。
俺には分からない。
飽きた俺は先輩に言った。
俺 「すいません!自分今日は帰ります!明日もよろしくお願いします!」
先輩「おう!早いな笑」
先輩の最後の一言はいらない気がする。
こっちは見るよりも動きたい派だ。
しかし、なんとか帰れることになった。
嬉しい。
だが、今後の学校生活や部活両方とも不安の残る初日だった気がする。
本当に3年間やっていけるのだろうか。
親戚に電話した。
俺は怪我をしており期間限定で迎えに来てもらうことになっていた。
本来はバス通学。
しかし、この足じゃ厳しい。
部活の見学が終わり数十分後に親戚の車が来た。
車に乗り込む。
すると、明るい顔で俺を迎えてくれた。
親戚「どうだった?初日」
俺 「一応、なんとかやっていけそうです笑」
親戚「ならよかった」
家に向かうまで他愛の無い会話は続いた。
その場しのぎの返しで場を繋いだ。
俺の頭の中は今後の不安について考えている。
皆はもう仲良かったけど内心不安なのかな。
深いため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます