第7話散策
休憩に入ってもしんみりとした冷たい空気が続いた。
トイレに行くだけでもかなり勇気がいるだろう。
ほとんどの生徒は会話をやめて、ただ時間が過ぎるのを待っているかのようだった。
淡々と時間が流れる。
鐘が鳴った。
休憩時間に席を立ったのは数人ほど、それほど場は冷え切っていた。
6時間目は先ほどの続きだろう。
学年主任が喋る。
主任「この時間ではまず、校内散策です。農業科学科から順に見に行って下さい」
1学年およそ100人ほど、さすがに一気に散策は無理と判断したのかクラスごとだそうだ。
泉「じゃあ立ってー」
俺達は冷え切った場から速攻で抜け出した。
校舎は古くツタや草等が張り巡らされている。
昔からあるらしい。
話によれば俺の爺さんの世代からあったそうだ。
一応体育館は新設されたらしいがその他の施設は今も使われているらしい。
勿論教室も。
メインの校舎が4階。しかし、最上階には生徒は立ち入りできないらしい。
そして隣に体育館。
体育館裏には一際古い建物がある。農業棟というらしい。
この農業棟がかなり古い。
校舎自体は補修等行っているためまだ大丈夫らしいがこの建物は補修がされていないらしい。
歩くだけで廊下がミシミシと音が鳴る。
噂では夜の部活動でここを通ると幽霊が見れるとかなんとか。
俺は怖いのが大の苦手。ここはできる限り避けよう。
この高校では主にこの3つの建物と農場が使用されている。
農場は広いためこの時間では見ないそうだ。
改めて思った。
この高校広いな。
中3の夏にオープンキャンパス、冬の受験と2回来たが当時とはまた違った感情を抱いた。
校内散策が終わり教室に戻った。
疲れたな。
皆歩き疲れたのか顔がやや引きつっている。
勿論、違う理由もあるだろう。
少し遅れて担任の泉が来た。
泉「とりあえず、おつかれー笑
今日は授業終わりなー,
あと菅原先生の言葉、しっかり心で受け止めろよー」
俺は、しっかり聞いていたけどな。
ひとまず、今日の授業は終わりだそうだ。
長かった。
担任もさぞかし疲れているようで、かなり適当に流した。
おかげで帰りのホームルームが始まり数分で終わった。
明日は午後の部活動説明があるらしい。
一応野球部に入る予定だけどこの怪我じゃなぁ。
とりあえず今日はさっさと家に帰ろう。
そう意を決して立ち上がった。
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