第3話教室②

「キーンコーンカーンコーン」

入学して最初の授業になる。

最初はオリエンテーションだ。いわゆる自己紹介やこれからの流れ等を説明する時間だろう。

泉「1番青葉君」

青葉「はい!大森北中出身です!部活はテニス部に入る予定です!趣味は運動です!よろしく♡」

女子「キャー!」

もうモテてて草。

泉「2番伊勢君」

伊勢「はあぁい。大勝中出身です。部活は柔道部に入る予定です。趣味はアニメ鑑賞です。」

はぁ。

泉「3番谷川君」

谷川「うっす。大島中出身でぇす。部活は入んないっす。趣味は無いっす。以上っすー」

尖ってんなー笑。

次々と自己紹介が進んでいく中、着々と自分の番が近づいてくる。気が付くと手汗がびっしりだ。「クソ、めちゃ緊張する」手汗がより一層滲んだ。

ついに自分の番が来た。

泉「20番高橋君」

高橋「はは、はい(ガタ)た、高橋です。水瀬中出身です。ぶ、部活は野球部に入る予定です。趣味は....と、特にありません....」

泉「あ、因みに高橋君怪我してるから野球部入るやつ手伝ってやってなーはい次ー」

やっと終わった。

席に座ると隣の席から、「よろしく!高橋さん!」と声を掛けられた。コミュ力エグイと思いながら、誰だっけと思った。「俺後藤っていうからよろしく!」

彼は自分から名乗り眼鏡をくいっと直した。彼は坊主である。


オリエンテーションが終わり10分休憩に突入した、皆気になっている人に話かけに行く中、自分はずっと座ったままだった。正直松葉杖をつきながら話しかけに行くのは陰キャには難易度が高すぎる。横を見るとさっきの後藤がいた。

目が合うと話かけてきた。

後藤「高橋さん俺の事覚えていない?」

え?俺の事を知っているのか?そう自分に疑問を投げかけた。

後藤「俺高橋さんの事中学の陸上で知っているんだよね!」

そうだった、彼は元陸上部だそうで自分の事を知っているのか。

俺は中学、野球をやりながら期間限定で陸上競技部に所属していた。

その時砲丸投げで地区入賞した。彼はそれを知っていたのだ。

「あ、ありがとう。よろしくな」と彼に言い、会話を閉じた。

ざわざわと流れる教室で自分は彼と少しだけだが話をした。

なんだろうか、自分は彼に助けられたような気がした。

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