あらあら たいへん

こんなこともあるものさ

ちょっと聞いていかないかい?


ぼくが紡いだ 今日までの

なんの変哲もない物語


ねって かさねて ふくらんだ

ちょっと大事な九十八

あとは焼くだけな一ページ


助走もつけて跳んだあと

いよいよ大詰め九十九

あとは着地を決めるだけ


百ページ目は背表紙さ


キミが立ってるふわふわな雪原

実は ふくらんだ九十八

味付け 色合い なぁにそれ?

白いまんまでまるまると


ノートを広げて眺めても

罫線の上なぞるだけ

キーボードの色黒くても

画面を染めてはくれなくて


まだ焼いてもいないから

発酵のさき お腐れさまさ

好みの味は? 好きな色は?

考えるほど動かない


でもまぁ待って 立ち止まり

言葉にしたら落ち着いてきた


ここまで紡いで広げた世界

いったい誰のためだったのか


キミのための物語?

僕のための物語?

彼のため? それとも彼女?

ぜんぶ正解不正解

生まれた世界の住民のために


ただそうしたいから描いてた

いつの間にやら着飾って

見合う自分を探してた


バカみたい 本当にね

格好つけてもしょうがない

前も後ろも物語


やりたいように 望むがままに

誰かの何かになれたらいいな

ただそれだけのことだって


あらあら たいへん

待ちくたびれてふくらんだ

まっしろ 窯には入るかな?


何が言いたかったのか?

わかってしまえばただのグチ


聞いてくれて ありがとう

焼き上がりましたよ九十八

かむほど味がでるかもね














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る