イマソノコナタヘ

物語へ幕を下ろそう

白い紙面に落とした墨

銀の雪原に積もったコトバ

そこに何か見つけたかい?


意味なんてもたない

熱なんて もたない

キミが触れるまで

物語はないと同じなのさ


コナタカラカナタヘ


指で擦った墨は 血脈へ

溶けた雪原は 泉とせせらぎへ

ボクは創造主じゃない

一人じゃ平面でしかない

墨は指じゃない


つまらない話をしよう

キミが物語の幕を下ろす話

それは闇ではなく光なんだって話


観終わった傑作の余韻は 文字と闇

足を急がせるのは眩しい光

キミがもしこの世界の終わりを見るなら

それは空からの光を仰ぐ時なんだ


だけど 間違っちゃいけない

ため息は絶望じゃなく つまらないってだけ


だってボクはひたっていたいもの

下りて揺れる 幕のその向こう側にさ

ね つまらない話だろ?


雪原の下に眠る土

溶けて生まれる流れ

黒い種

キミは光を感じる

緑は 芽吹いたかな


キミのためじゃない

でも キミのための物語


イマソノコナタヘ


ボクの世界に昇るエンドロール

さぁ 幕が下りるよ

ありがとう


次はキミが教えてくれるね


ボクカラキミヘ

キミカラボクヘ


ねぇ 世界は ――どんな色?




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