廻 ~meguri~

全部背負った

その重みを感じさせぬよう

歯を食いしばり

顔を背け

背を見せ 歩いた


背負う重しは

やがて肉に喰い込み

赤く滲みつづけ

細く濃く

私の軌跡を記した


誰かは 地図と指さし

誰かは 絵だと頷き

誰かは 導きだと祈った


傷 ただそれが事実であり

痕 弱さを隠す外套にすぎない


腐らぬことが救い

独りなら そう笑えたろう



いま 一筋の暗闇を歩く

この道を進み

光をくぐれば

また私は顔を上げ

胸を張り 背負う


だから 痛いと泣くのは

せめて 一筋の涙くらいは

暗闇に溶けるのだから

声だけは漏らすなと

言い聞かせる


俯いたか? ああ

涙したか? ああ

晴れたか? 否 されど


ならば また

背負い 語れ

歓声を 願いを 怨嗟を

背負い 刻め

示せ その一心を叶えりと


誰のための私か

どうせ涙の筋など

見えやしないのだ





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