飾 ~kazari~

水面に立つ飛沫をまとい

透明なはずの水を染める

移り気な背中


すぐ失くすピアスは

同じ種類の色違い

小さな石が好きだったね


いつの間にか

穴が一つになって

それでもあなたを飾る


石の色に心はなくて

気分だよと笑うと光り

石は白く 色もなくなり

あなたの濡れた髪に目がいく


嗚呼 と


納得だけが留まり

飛沫が落ちる音がした

きらきら なんて言葉が安っぽくて

ため息で汚さぬよう苦く笑む


しなり泳ぐ鯉の背中は

人の指じゃ熱すぎて

やけどをすると聞いた


なら きみは?


なにも飾られてない

飾られたような背中

たとえ指で紅く灼けても

爪で紅く描いても


その背を誇り 泳ぐだろう


分かり切ったことだ

きみ以外

きみを飾りつける者など──

そう 僕でさえも


最後まで言葉が並ぶ前に

また水面を駆ける音がして

僕は見送ることができず

追い駆けるのだ



この世界を飾ってほしいと








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