石ころの上で鳴く

火曜日から水曜日への片道切符

ノックしたら返事をする無人のトイレ

いつものそんな風景

迷惑のない当たり前


蛇口をマメに締めたら他に行き渡るかも

ペットボトルを分別したら木を一本守れるかも

一回のありがとうが

誰かの不機嫌を一秒遅くするかも

望んでなんかない 些細な途方もないマナー


お賽銭は好き好きでいいんだよ

だるまさんがころんだが早くてもいいんだ

歩幅だって歩きやすさだろ?

ここで深呼吸したって 地球はダメって言わないさ

決まりのない てのひらの自己満足


手足があって

爪があって 

よく泣いて よく鳴いて

髪は染めた 見慣れない

キミとは違う 名刺のないボクって者


ずっとずっと

石の上で鳴いている

ああ キミもだね


ボクらの目の前を

硝子が歩いている

キミの中にも

宝石が息づいている


掘り出したいね

掘り出せるかな


傷つきにくいダイヤモンドも

ハンマーには敵わない

粉々で風に消えるもの


隠れた 光

埋もれた 価値


気づくことに飢えるのは

気づいてと飢えるのは


弱さって言えたら強さなのか


差した光に瞳を焼かれ

反射する光すら手で遮り

それでもボクらは

輝く石ころを探し 鳴く


石の上で

輝く石ころを探している









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