潤滑油

言葉 喜び

愛 眩暈

林檎にも似て

林檎ジュースにも似て


甘い匂い

甘い誘惑

原動力に溢れていても

動き出すには錆びている

動き方も忘れている


潤滑油 それは深呼吸


皮肉 悲しみ

愛 世迷い

さかなにも似て

空を刺す鳥にも似て


錆びの臭い

軋む抵抗

原動力に溢れていても

走りだすにはまだ早く

悲鳴が大地に落ちている


潤滑油 それは深呼吸


彼を見紛うことはなく

手のひらをみつめている

自分の指はネジ回し

自分の手のひら荒いヤスリ


傷だらけに洗った顔で

ネジ穴潰れた最後の締め直し


動き出すには錆びていた

とっくに油は差していた

風化でもない

塩害でもない


悲鳴落とされ大地が揺れる

整備は終わっているのだろう


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る