螽斯を遊び人と嗤うのは蟻だけと知る

咲き誇る



圧倒も威圧も虚栄もなく

ただありのまま威風堂々


儚く散ること知りながら

人は誉めて称えて立派という


顔を赤らめ傍らに座り

唄い踊れと手を叩く



誰もが感じているのだろう

いつか迎えるそのときを

桜に重ねて見るのだろう



だから声張りはねのける

生あるときを讃え歌う


美しくあろうと胸を張ろうと

桜の季節に寄り添い誓う



そして季節は南から北へ

星の息吹は

たんぽぽの綿毛のように

大木の花弁をとばし


人は初めて淋しく笑う


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