第6話 ヨンパルの入信

 ヨンパルの中学時代の恩師は観音教を創設し運営していた。ヨンパルはその恩師の家の一角を借りて日本生活をスタートした。そして、名を永八に変え観音教にも入信した。

 間もなくして、太平洋戦争が勃発した。恩師は徴兵され1年後、戦死した。永八は結核菌が見つかり徴兵を免れたが、命をかけた闘病生活が彼を待っていた。観音教は戦時中は特に目立った活動をする事はできなかった。戦争が終わりに近づくにつれ永八の結核も奇跡的に回復していった。そして、観音教の活動も少しずつ増えて新しく入信する信者達も少しではあったけれど現れ始めていた。太平洋戦争が終わると永八は観音教を正式な宗教法人として登録し、自ら教祖の座に着いた。信者達はみな納得していたし、不満を持つものは誰もいなかった。

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