信じること

信じること それは疑わないこと

とかく我々人間というものは

疑うことには非常に敏感であるのに

それが正しいものらしいと思っても

信じることには勇気がいる

疑うことには勇気が要らないのは不思議なことであるが

信じることには勇気がいる

そして、何より私が思うのは

小さい法則ほど勇気は要らず

大きい法則ほど勇気が必要だ


信じるということは難しいことである

特に人間同士 信じ合うということは

並大抵のことではあるまい。


太宰治の『走れメロス』という小説があるが

信じるということについてあれは不出来だと

私は思う。


なぜなら間断なく友と離れている間

一生懸命に友のことを信じたり疑ってみたり

そういう葛藤が描かれていないのである

我々は赤子では無い。

赤子であればあの話を絶賛するかもしれないが

大人である我々から少し物足りなく思えるのは

信じて、裏切られた経験を持つ人ならば尚更である。

裏切られるかもしれない、しかし、それでも私は彼を信じよう

という、

自分の疑いの感情との葛藤、迷い、そしてそれを打破するような

より強い信の境地に立たなければ

あの話は上辺だけのものだと思うのである。


赤子ほどの純粋さは

もはや現代の玉石混交の 情報が錯綜する

情報社会では難しい。

我々は

疑いを起こすのが

日々当たり前である。

そうでないと、狂ったように泥を吐く世の中を

生き抜いてはいけないだろう


しかし、それでもなお信じるというところに立った時に

見える清々しい景色というのが


必ずあるんだと私は書き残しておきたい。

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