りんご、さくさく

今日、近所の方にりんごを沢山貰ったので

娘にりんごを剥いてあげた。

りんごは皮の周りが少しベタついていて

甘いりんごなのだとわかった。

私は皮まで食べる人間なので

皮をむくのが惜しくなったが


まあいい、えいやと皮をくるくる

丸く丸く剥いていく

りんごはすっかり 赤いベールを脱いで

少し黄色がかった白い果肉を見せた

それで切って娘と妻に振舞った。


思えば私の父も母も

こうして私にりんごをくれた。

そうして二十年

今度は私が娘にやる。

父と母の通ってきた 親としての道をなぞる。

懐かしきりんごの味はもうさりとて記憶にないが

父と母と兄弟たちと

りんごをむさぼったあの夜のことが

脳裏に焼き付いて離れない 穏やかで温かいりんご

りんごは冷たいではないかというなかれ。


りんごを食べる私たちは

温かい食事を頂いている。

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