タバコの煙、自由を求めて
喫煙室で先輩と2人僕はタバコを吸う
「重力に縛られる働き方したくないってお前、空気中の塵よりも軽けりゃなあ」
空気中の塵よりも軽ければ重力に縛られなくていいものか
僕はその言葉を信じて ダイエットをし始めた
三日、七日、十日、二十日、一ヶ月。
二ヶ月、四ヶ月、
半年もすると僕は宙に浮き始める。
七ヶ月、十ヶ月、一年。
僕の努力は実を結び、強い風の時に僕は宙空へと放り出された
どんどん高く上がっていき
雲の間を抜け
晴れ渡る空のブルーに
吸い込まれそうになるように
僕はこうして重力を克服した
しかし、厄介なことに、僕は自分の体勢すら維持できない。
最初の風と共に空へ舞い上がってから
四ヶ月経つ。相変わらず雲よりも高いところにいた。
ここでは僕は漂っているだけしかできなかった。
もちろん周りに掴むものなんて何も無く。
体の自由は地上にいる時よりも遥かに効かなくて
そして、体の自由と一緒に、心の中の自由まで失われる。
思えばずっと縛られてきたあの大地の重力に
今はひたすら帰りたいと願うのだ。
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