第27話 闇の目
カルロは、仮住まいのラブホの部屋に入るとインターホンでこずえを監視する小型カメラを受付の女に頼んだ…
翌日の夜、こずえが住むマンションの出入りを監視出来て人に見付からないであろう街路樹に仕掛けた。
そしてラブホに帰ると森高こずえを検索エンジンで洗い出す、自殺に見せ掛けて殺す為だ。
こずえの検索で母親の自殺が出てきた…
母親は森高さおり36才で薬物自殺とあるが、こずえが母親は義父に殺されたと警察に直談判したが証拠不充分で取り合ってもらえなかった事などが出てきた、カルロは義父を検索したが目ぼしい物は無かった。
翌日の朝カルロはこずえを尾行して職場のコスメショップを突き止めると閉店後に再び現れ尾行をする。
こずえが歌舞伎町のクラブシガーライトに入った、このクラブはパパ活女子やジャンキー御用達の店だ、こずえは一度薬物取引で誘きだした売人が来て居ないか店内を見渡したが居ない、今日は空振りかと思っている所に売人が現れた、売人もこずえ同様店に入ると辺りを見回し客の物色をしていたが、いつもと違い目立つ格好をしてるこずえが目に止まり声を掛けて来た。
売人
「今晩は、ここは初めて?」
こずえ
「そうなの、何でわかるの?」
売人が声を掛けて来る様に目立つ格好をしていたこずえ…魚は餌に食いついた。
売人
「常連のオレが見かけない顔だから初めてかなと思って」
こずえ
「そっか、最近引っ越して来たの」
売人
「そうなんだ…オレ、トーマって言うんだけどこの辺の顔だから何かあったら声かけて」
こずえ
「詩織よトーマ君ね、よろしく」
トーマ
「詩織ちゃんか、よろしく!一杯おごるよ」
こずえ
「やった~じゃぁ、テキーラで乾杯しようよ」
尻軽女を演じるこずえにトーマもノリノリでテキーラを飲むと、今度はこずえがカウンターからテキーラを持って来た。
こずえ
「これは私から」
2人はテキーラで盛り上がっていたがドラッグの客らしき男がトーマに話しかけて来たタイミングで連絡先を交換するとこずえはクラブを出て行った。
尾行していたカルロは、トーマを隠し撮りするとクラブを出て仮住まいのラブホに戻る。
ラブホに帰って来たカルロは受付の女にクラブで隠し撮りした写真を送り組織との関係を調べるように頼んだ。
監視カメラの映像に眼をやるとこずえが帰宅してるのがわかった、カルロの知らない女森高こずえが何故組織を調べるのか…そしてカルロが殺すと言ってる相手の目的を何故ボスが気にするのか…それらを踏まえて考えるとボスはこずえを知っててこずえもボスを知ってる可能性がある、ならこずえの目的は〝ボス〟と言う仮説を思いつく。
カルロは受付の女にボスに報告がある事を伝えてくれと頼んだ。
翌日 13:20
カルロのガラケーが鳴った、相手はボスで地下室に来てくれとの事だった、カルロはラブホの地下室に向かう…
疑問に思ってる事を聞くつもりだ。
地下室のドアを軽くノックすると返事を待たずに中に入った、ボスと目が合うと頭を下げ向かい側に座った。
カルロ
「こずえの母親なんですが森高さおりで薬物自殺してます…そして、こずえは警察に母親は義父に殺されたと直談判してます…ボスはこれに関係あるんじゃないですか?」
ボス
「そうなんだ、そこをハッキリしたくてちょっと目的を探るように頼んだんだ」
「こずえの母親が死んだ頃にボスと校長は組織的な薬の売買を始めてます、そして死因は薬物でこずえと組織の繋がりが今のところ薬物しかないのと、こずえは義父を恨んでる事からすると、こずえが組織を探るのは義父が居るからで目的は義父を殺す事だと思います」
ボスはカルロの推理に感心した顔をしてうなずいている。
「それでカルロは私が義父だと思ったのか?」
「そうです」
カルロはボスの目を見て返事を待っている、ボスもカルロの目を見て答える。
「そうだ私だ…だが、あの娘は死んだ筈だ…」
なぜボスはこずえが死んだと思っていたのか…この世界のトップが人の話を信じる事はない、そうなるとボス自ら殺したかもしくは誰かが殺すのを見ていた事になる。
「ボスが殺したんですか?」
「母親はね…」
第一部 完
追跡 山光 海闇 @ykaian
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