第26話 闇の目




リョウガの合格を知ったこずえは横浜に向かった、行き先はリョウガのマンションだ。



こずえは電車の中でリョウガにメールする…

〝 今日、会える?大事な話があるの 〟


こずえからのメールをリョウガが受け取ったのは特捜課だった。





神奈川県警察本部 特捜課


特捜でリョウガが警察官採用試験合格を報告してるとこずえからメールが来た。


リョウガ

「梶山さん、こずえからメールです…大事な話があるから会おうって」


梶山

「…また何か企んでるのか?」


リョウガ襲撃事件の時に梶山が尾行してたのはバレてる…なら、リョウガが警察と繋がってる事もこずえは考えるはずだ、なのに会うと言う事は何らかの目的があるはず…


矢野口

「しかし、追っているのは同じ組織…会う価値はあるのでは」


リョウガ

「あたしもそう思います…ただ、もう演技はしないあたしはこずえを疑ってる事、はっきり言います」


梶山

「だが、こずえもリョウガ君も組織に狙われてる危険がある…」


矢野口

「そうですね、2人が屋外で会うのは危険ですね」


リョウガ

「返信はなんてしたら良いですか?」


矢野口

「お任せしますが、屋内で会って下さい」


リョウガは〝あきらを死なせたあんたには絶対償わせる、だけど大事な話が本当にあるなら聞くわ〟とメールの返信をすると直ぐ折り返しが来た。


〝 30分位であなたのマンションに着きます 〟


リョウガ

「家に来る見たいです」


矢野口

「巡査部長、送って行ってそのままマンションを警戒して下さい」


梶山

「私も行きます」


リョウガの護衛に梶山が心配とこずえへの好奇心で着いて行く。



マンションの近くでリョウガを降ろし2人は車の中で警戒する。


その様子を監視カメラで見ていたカルロはいつもと違う動きに直接見張ろうと部屋を出てリョウガのマンションに向かった…

カルロは目立たないように出入口を見張りながら覆面パトカーを警戒する。


暫くするとマンションの前にタクシーが止まりこずえが降りて来た、こずえは辺りを見回し覆面パトカーを見付けると軽く会釈する、梶山は軽く手を上げて応える…

一連の動きを見たカルロは顔も知らないこずえと言う女はコイツだと確信する。



リョウガはこずえをフィギュアと人形に囲まれたリビングに通して話し出す。


リョウガ

「もう分かってると思うけど、あんたと馴れ合う気は無い」


こずえ

「そう…」


「だから、大事な話だけ聞くわ」


「ドラッグマンを捕まえたいんでしよ、それで刑事になる…合格おめでとう」


今日、知らされた合格をこずえが知ってる事に驚くリョウガ。


「何で知ってるの?」


「ネットに合格者が発表されるのよ」


例によって梶山はリョウガに盗聴器を持たせ車で会話を聞いている。


こずえ

「私達が会う時は前から盗聴されてた? 下に警部が居たけど、今も聞いてるんでしょ」


「あんたは要注意人物だからね」


「まぁ、聞いてる方が都合良いわね…まずドラッグマンは横浜に居ない」


「それはあたし達だって予想はしてる」


「そして私は今、新宿で組織を探ってる…横浜に居ないドラッグマンが新宿に居る可能性は高い」


「そんな事わからないでしょ」


「少なくとも横浜じゃ無い…だから新宿と横浜の情報を共有したいの」


車で話を聞いている梶山がリョウガに電話をする。


リョウガ

「梶山さんから電話よ」


そう言うとスマホをテーブルに置いてスピーカー通話にした。


リョウガ

「今、スピーカーでこずえも聞いてます」


: 話は聞いていた、多分OKだ細かい事はまた後で電話する …


そう言って電話を切ると直ぐ矢野口に電話で相談した、その結果あくまでも非公式で証拠を残さない形での情報交換協力となった。


これは警察が犯罪組織内に作るエスと言うスパイと同じような状態だが、こずえの交渉は成立した。



リョウガ

「話しは終わりね…お帰りはあちら」


ドアを指差してこずえの帰宅を促す。


こずえ

「ハイハイ、頑張ってね新米デカさん」


小馬鹿にしたようなセリフを吐いてリョウガの部屋を出て行くこずえ。


カルロは覆面パトカーの2人に気付かれない様にこずえが乗り込んだタクシーを自転車で尾行する、スピードは出ないが街中では機動性に優れているぶん尾行はしやすい、万が一高速に乗るようなら素早くタクシーを捕まえるしかないが、そうはならずこずえは関内駅前でタクシーを降りた。


電車の中は尾行がバレる可能性が高い、同じ車両だと目視と窓の反射などで後ろも見られるし基本的にはみんな動かないので怪しいヤツは目立ってしまう…カルロは隣の車両から慎重にこずえを監視する…


新大久保で降りるこずえを尾行して自宅の住所を特定するとカルロは渋谷のラブホに帰る。



ラブホに入ると地下室にボスが待ってると受付で言われ地下室に向かった。

階段を降りて薄暗い廊下を渡りドアをノックする。


「どうぞ」


「……」


カルロは無言でソファーに座ってボスの話を待つ…


ボス

「なぜ、女を調べてるのかな?」


カルロは、相手が校長の時はウソや誤魔化しなどを使っていたがボスには本音を語るしか無いと感じている。


カルロ

「校長の暗殺はある意味完璧だった…俺はあれがミスだと思ってない、校長の暗殺を阻止して校長を死なせる原因を作ったあの女…

森高こずえを殺さない事には、校長に誘われたこの世界で生きるには…俺が息苦しいから…理由はそんなところです」


「そうですか、足が付かなければ結構…ただ、ついでにその女の目的を探ってくれるかな」


殺す相手の目的を知りたいと言うボスをカルロは不思議に思ったが要求を受け入れて仮住まいのラブホテルの最上階に向かった。


地下室に1人残ったボス。


… 森高こずえ、まさかな …


こずえの名前を呟くと、過去を振り返り遠くを見る様な表情をしていた。





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