第23話 始まりのふ頭
校長も銃を持っているが、谷口はすでに構えている撃ち合いに勝ち目はない。
校長
「ボスに言われたのか?」
前々から立場が上の校長を苦々しく思っていた谷口は校長の質問に皮肉で答える。
谷口
「…もう、お前のボスじゃないって事だ」
校長
「そうか…ならビジネスの話をしないか、俺の命の値段100億でどうだ?」
警察で組織のイヌとして働く谷口、金だけではそんな危ない橋を渡れない…
ボスに弱味を握られ脅されているはずだと思っている校長は海外に逃げてもやって行けるだけの金額で寝返りを求める…
しかし、今の谷口はさんざん上司ヅラした校長を追い詰める事に喜びを感じて悦に浸っているためか金になびく事はなかった。
谷口
「ビジネスだと笑わすな、お前の金などボスならどうとでも出来るだろう…」
校長
「本当にそう思うか…俺はボスでも手を出せないように隠してる… うっ!」
話し合う2人の隙を見てカルロが素早く校長の背後に周り喉元にナイフを突き付けた。
校長
「何のつもりだ…止めろ」
カルロ
「まぁいいから、黙ってろ…奴と話がしたい」
カルロは素早く校長の懐から銃を奪い取る。
谷口
「フッ、どう言うつもりだ…」
カルロ
「まず、俺の状況は?」
谷口
「…ドラッグマンだな?」
カルロ
「そうだ」
谷口
「ボスはドラッグマンを渋谷に移すと言ってた…」
校長
「騙されるな! 嘘だ、お前も殺されるぞ」
カルロ
「ハハッ、分かってる…あんたの弟子だからな」
あんたの弟子だから…そんなフェイクには騙されないと言うカルロの言葉には悪党としてだが、ここまで自分を強くしてくれた校長への感謝も込められていた。
谷口
「本当だ時期にボスか渋谷から連絡が来る」
カルロは自分も始末の対象だと思っているが、谷口に確認するとドラッグマン(カルロ)は助かると谷口は言うが明らかに嘘だ…
人を陥れ人を殺しても自分の得を取る裏社会の住人がそんな甘い分けがない、谷口が何故そんな嘘をつくのかは今現在の状況を把握してる証拠だ。
カルロ
「誤魔化せると思うか?」
谷口
「なに…」
カルロ
「この状況、分かってんだろ…お前は直ぐに校長を殺さなかった、それが敗因だ」
谷口は日頃から高圧的だった校長をいたぶりたいと言う欲をかいた事を悔いた。
校長を盾にしたカルロと谷口の距離は8メートル前後、谷口が銃撃しても人の盾でカルロは難なく谷口を撃ち殺すだろう。
谷口
「さすが、ボスの右腕だった校長の弟子だ負けたよ……逃がしてやる」
カルロ
「なんだと…」
谷口を見下しているカルロに、まるで自分が優勢かのように堂々としている谷口だが頭の中はこの状況をどう回避するかを必死に模索していた。
カルロ
「逃がしてくれの間違いだろ? だが、残念ながらお前はここで死ぬ… そして俺は、自分のストーリーで今回の件は乗り切る」
カルロは初めて人を殺してから罪悪感や人殺しどくとくの重圧で心が壊れ無感動無感情な精神状態で今まで生きていたが、今回の事件で殺されるかもと言う状況の中、生への執着心が激しく沸き上がり心を燃やしていた。
谷口
「図に乗るなよ小僧…だいたい何で俺がここに居ると思う」
カルロ
「俺を尾行してきた…だろ」
谷口
「そうだ、お前の間抜けっぷりが校長を殺す事になった訳だ」
カルロ
「言ったろ、俺なりのストーリーって…警察に手配されてる俺がお前の近くに表れた…」
カルロはそれなりに警察を探っていた…
公開された情報の中だが事件前後に移動した何人かの刑事で最も怪しいと思う、谷口にワナを仕掛けると案の定尾行して来た。
谷口
「ワナだったと…」
校長に銃を向けた時は自分の力に自惚れていた谷口だが、今は絶望を感じてる、天国から地獄だ…
激しい感情の落差から精神的は不安定で冷静な判断が出来なくなっている谷口をカルロが煽る、目的は校長を射殺させるためだ。
カルロ
「そうだ、でも…あんたなら俺に勝てるかもよ…」
これはカルロにとっても賭けだった倉庫には3人、いま存在感を消してる校長がもしカルロの裏切りに怒り命を捨ててでもカルロを殺そうと考え谷口と組んだら今度はカルロが不利な立場になる…
校長
「カルロ、俺を助けろ…」
存在を消してた校長が流れを乱す。
校長
「俺が谷口に付いたらお前に勝ち目はないぞ、選択の余地はない俺を助けろ!」
カルロ
「そうだな、あんたが命を捨ててでも俺を殺そうとするなら良い勝負になるかもな…だけどあんたは死ぬ気なんてさらさら無いだろ」
谷口
「校長、ナイフを奪え!それが合図だ」
カルロ
「それでどうなる…今俺はナイフで校長、銃でお前と2人同時に狙ってるナイフを奪いに来たら谷口!まずお前を撃ち殺す」
校長が暴れ出したら即谷口を射殺しないとカルロは負けるだろう、だが校長を殺してからなら死体を盾にしたカルロが有利…しかし、カルロの計画は校長と谷口の銃での共倒れだナイフで校長を殺してしまうと第三者の捜査を警察が始めてしまう…
事を終らすには2人の相討ちが望ましい。
谷口
「校長、腹を決めろ! 俺の銃の腕を信じろ、さっきの100億で手を打つ」
谷口が校長を引き込もうとすると、カルロが校長を揺さぶる。
カルロ
「校長は俺が助ける、谷口お前には無理だ…」
カルロの言葉の意味に校長と谷口は一瞬戸惑い隙が出来た、カルロは銃を谷口目掛けて連射する!
撃たれながら谷口も銃を連射、先手を取ったカルロは校長を盾に谷口の銃弾を避ける撃たれて倒れ込む谷口、校長もカルロの手から離れて倒れこんだ…
カルロは谷口の銃弾が頭をかすめ少し出血をしている…
勝算はあったものの頭をかすめた弾がカルロにめり込んでいた可能性もある、際どい勝負だった。
カルロは校長の手に銃を握らせ1発打って硝煙を付けると倉庫を出た。
ふ頭から離れたカルロは、山下町の公衆電話を見付けて警察にふ頭で破裂音がしたと通報する…
2人の死体を警察に任せると、また歩き始め元町の川に停泊してる隠れ家の漁船に身を隠した。
通報を受け現場を確認した警察は大混乱をしたが、ふ頭を閉鎖して非常線を張った…
特捜の3人もふ頭に現れたが、すでに捜査一課課長が現場を仕切り事件の終息を図っていた。
結局、一課は校長をドラッグマンとして事件を解決、谷口を殉死としてスパイ容疑の失態を隠蔽…
当然矢野口達は反発したが、それに値いする証拠がないため死人に口無しで捜査本部は解散する事になる。
そして、漁船に隠れているカルロには待ちかねていた組織のボスから電話が来た。
: 谷口から連絡がない…詳しく聞かせて貰えるかな …
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